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アレルギー性鼻炎患者調査 Vol.5【「たぶん、スギ花粉症」検査をせずに自己判断する患者はどのくらい?】

読了時間:約 3分23秒  2018年05月18日 PM01:00
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患者2,702人に聞いた「あなたのアレルゲンは?」「それ、検査した?」


国民の約4割が罹患しており、近年増加傾向にあるアレルギー性鼻炎1)。処方薬、市販薬も豊富で、2014年には舌下免疫療法も登場。いまや、さまざまな治療選択肢から、患者一人ひとりにあった治療方法を選択できる時代だ。それでは、アレルギー性鼻炎患者本人は、治療に関してどのように考えて、クリニックの受診や市販薬の購入などの行動を起こしているのだろうか。

そこで今回QLifeは、アレルギー性鼻炎で医療機関に通院中の患者2,702人を対象に、治療についての考え方に関する大規模調査を実施した。その結果から垣間見える患者のホンネについて、シリーズで紹介する。第5回目は、アレルギーの原因物質に焦点を当てる。アレルギー原因物質に世代差はあるのか。世代によって自己判断が多い原因物質に違いがあるかを探った。

1)鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会:鼻アレルギー診療ガイドライン-通年性鼻炎と花粉症-2016年版(改訂第8版).(株)ライフ・サイエンス, 8-13, 2015

20代・30代患者の2~3割、アレルギー原因物質「検査はせず、自己判断」

アレルギーの原因物質について複数回答で訊ねたところ、「スギ」が最も多く58.1%。次いで「ハウスダスト」(53.4%)、「ヒノキ」(39.6%)、「ダニ」(36.0%)と続いた。これを性別・年代ごとに分析したところ、20代以上では「スギ」が「ハウスダスト」を上回っていたのに対し、10代では「スギ」(男性:55.6%、女性:53.8%)よりも「ハウスダスト」(男性:63.8%、女性:57.5%)の回答が多かった。また、「スギ」と答えた割合は、10~20代では55%程度であるのに比べ、40代では男性64.5%、女性66.4%と多かった。一方で、「ハウスダスト」については、10代の6割近くが該当すると答えており、ほかの年代よりも高い傾向がみられた。

どのようなアレルギーを持っているか 性・年代別

これらのアレルギーの原因物質について、検査をしたことがあると回答したのは61.8%だった。少数派ではあるが、自己判断との回答が17.2%あったことから、検査の実施状況をさらに解析した。性別・年代ごとにみると、40代女性の69.8%、40代男性の66.3%が「検査をしたことがある」と回答。これに対して20代では、男性(53.0%)、女性(51.7%)とも検査実施は5割程度に留まり、半数は検査をしていないことが明らかになった。「自己判断」と回答したのは、20代男性(30.1%)、30代男性(27.9%)、20代女性(22.7%)、30代女性(20.6%)の順に多く、これらの年代では自己判断が4~5人に1人程度の割合でいるという実態が見えてきた。

原因物質検査の実施状況 性・年代別

季節性は通年性よりも「自己判断」割合高く

それでは、通年性の患者と季節性の患者では、原因物質に関する検査の実施率に違いがあるのだろうか。1年中同じ症状がある通年性アレルギー性鼻炎患者と、特定の季節だけ症状がある季節性アレルギー性鼻炎患者、1年中症状はあるが季節により変化する通年性と季節性両方のアレルギー性鼻炎患者の3群で検査の実施状況を調べたところ、通年性のアレルギー性鼻炎患者は67.0%がアレルギーの原因物質に関する検査を実施。通年性と季節性両方のアレルギー性鼻炎患者も64.4%と、季節性アレルギー性鼻炎患者の56.2%を上回った。かたや自己判断と答えた割合は、季節性アレルギー性鼻炎患者が23.7%と、通年性(12.2%)、通年性・季節性両方(13.5%)を上回り、季節性アレルギー性鼻炎患者のおよそ1/4が自己判断でアレルギーの原因物質を決めていることが明らかになった。

年間を通じたアレルギー性鼻炎症状×原因物質の実施状況

今回の解析結果から、20~30代の季節性アレルギー性鼻炎の患者は、アレルギーの原因物質について自己判断している割合が高いことが明らかになった。仕事に、子育てにと忙しい日々を送る20~30代。医療機関でアレルギーの原因物質を調べたうえで治療をするよりも、手近な市販薬で間に合わせていることも想像に難くない。しかし、抗原回避は『鼻アレルギー診療ガイドライン』でも推奨される治療法のひとつだ2)。完全には回避できなくとも、抗原を避ける努力することが重要とされている。アレルギーの原因物質を確認し、予防や症状緩和につなげることも、患者満足度を高める治療につながるのではないだろうか。

2)鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会:鼻アレルギー診療ガイドライン―通年性鼻炎と花粉症―2016年版(改訂第8版). (株)ライフ・サイエンス, 35-82, 2015

本調査の概要は以下の通り。

  1. 調査対象:アレルギー性鼻炎で医療機関に通院している患者2,702人
  2. 有効回収数:2,702人
  3. 調査方法:通院する医療機関を通して、患者本人に案内したインターネット調査
  4. 調査時期:2017年7月15日~8月31日

また、詳細な調査報告書はhttp://www.qlife.co.jp/news/171031qlife_research.pdfからダウンロードできる。(QLifePro編集部)