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アレルギー性鼻炎患者調査 Vol.4【市販薬使用に年代や職業による違いはあるか?】

読了時間:約 5分55秒  2018年04月20日 AM11:00
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年代・職業別にみた「市販薬を購入するワケ」


国民の約4割が罹患しており、近年増加傾向にあるアレルギー性鼻炎1)。処方薬、市販薬も豊富で、2014年には舌下免疫療法も登場。いまや、さまざまな治療選択肢から、患者一人ひとりにあった治療方法を選択できる時代だ。それでは、アレルギー性鼻炎患者本人は、治療に関してどのように考えて、クリニックの受診や市販薬の購入などの行動を起こしているのだろうか。

QLifeでは、アレルギー性鼻炎で医療機関に通院中の患者2,702人を対象に、治療についての考え方に関する大規模調査を実施した。その結果から垣間見える患者のホンネについて、シリーズで紹介する。第4回目は、「市販薬を購入するワケ」を患者の年代・職業別に分析する。医療機関を受診してもらう処方薬と市販薬を使い分ける患者は、どんな事情で、何を期待して、いかなる理由で市販薬を選択するのだろうか。

1)鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会:鼻アレルギー診療ガイドライン-通年性鼻炎と花粉症-2016年版(改訂第8版).(株)ライフ・サイエンス, 8-13, 2015

市販薬を選ぶのは「病院に行く手間が省ける」から

調査に参加したアレルギー性鼻炎で通院中の患者2,702人のうち、この1年の間にアレルギー性鼻炎の症状で市販薬を使用したと回答したのは、991人(33%)。なかでも内服薬を使用した患者が26.7%と最多で、点眼薬(19.4%)、点鼻薬(16.2%)と続いた。そこで、市販薬のうち内服薬、点眼薬、点鼻薬のどれを使用したのかを、職業・年代別に分析したところ、内服薬を使用した割合が最も多かったのは20代の就労者で、実に91.1%に上った。次いで、30代の就労者(83.3%)、30代の主婦(主夫)の(82.2%)と続き、40代の就労者(80.6%)、10代学生(76.7%)、50代の就労者(69.7%)に至るまで、どの職業・年代でも7~9割が内服薬を使用していた。点眼薬では、10代学生(55.8%)や20~30代就労者(それぞれ55.7%、52.5%)が5割程度であるのに比べ、40代就労者は58.9%、主婦(主夫)でも30代の65.8%に比べて40代では71.1%と、年代が上がるにつれて使用している割合が増える傾向がみられ、40代の主婦(主夫)では点眼薬の使用が内服薬(68.4%)を僅かに上回っていた。市販薬を購入した理由については、全体では「病院に行く手間が省ける」(41.0%)が最も多く、年代別にみても、10代学生を除くいずれの年代でもおよそ4割以上が「病院へ行く手間が省ける」を多く挙げていた。

市販薬の使用状況

若手の就労者ほど、手間をかけずに素早く市販薬で治したい

調査では、市販薬を使用する動機についても質問。その結果、市販薬へ期待することとして、「早く効く薬がほしい」(41.5%)、「安全に治したい」(41.3%)、「手間をかけずに治したい」(41.2%)、「良く効く薬がほしい」(40.4%)が多く挙げられた。これを職業・年代別に分析すると、20代の就労者では、ほかの年代に比べ、総じて市販薬への期待が大きい傾向がみられ、「早く効く薬がほしい」(52.3%)、「手間をかけずに治したい」(51.3%)、「すぐに治したい」(50.8%)に対する期待が特に大きかった。2017年は抗ヒスタミン薬ロラタジン配合の「クラリチン(R)EX」が、さらにこれまで15歳未満は使用できなかったアレルギー専用鼻炎薬「アレグラ(R)」には、7~14歳の子ども向けの「アレグラFXジュニア」が登場。セルフメディケーション税制の導入もあり、ドラッグストアの市販薬売上が前年を上回った。医療用医薬品と成分が同じ「スイッチOTC」のラインナップも充実しつつあり、「お金が戻ってくる」という税制面での期待感が、市販薬の使用を後押しすることも考えられそうだ。

職業・年代別 市販薬への期待
※「非常にあてはまる」を2点、「ややあてはまる」を1点としてスコア化
製品名 製造販売元
(販売会社)
成分 用法・用量
アレグラFX
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サノフィ
(久光製薬)
(2錠中)
フェキソフェナジン塩酸塩120mg
15才以上1回1錠1日2回朝夕、15才未満は服用しない
アレジオン20
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エスエス製薬 (1錠中)
エピナスチン塩酸塩20mg
15才以上1日1回1錠就寝前、15才未満は服用しない
鼻炎薬A「クニヒロ」
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皇漢堂製薬 (6錠中)
d-クロルフェニラミンマレイン酸塩6mg
ベラドンナ総アルカロイド0.4mg
塩酸プソイドエフェドリン150mg
無水カフェイン120mg
グリチルリチン酸二カリウム40mg
1回15才以上2錠、14~7才1錠、1日3回、7才未満は服用しない
パブロン鼻炎カプセルSα
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大正製薬 (2カプセル中)
塩酸プソイドエフェドリン60mg
マレイン酸カルビノキサミン6mg
ベラドンナ総アルカロイド0.2mg
無水カフェイン50mg
15才以上1回2カプセル1日2回12時間ごと、15才未満は服用しない
ストナリニS
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佐藤製薬 (2錠中、内核・外層それぞれに)
クロルフェニラミンマレイン酸塩6mg
フェニレフリン塩酸塩6mg
ダツラエキス12mg
15才以上1回1錠1日1~2回、15才未満は服用しない
アネトンアルメディ鼻炎錠
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ジョンソン・エンド・ジョンソン
(武田コンシューマーヘルスケア)
(9錠中)
プソイドエフェドリン塩酸塩180mg
クロルフェニラミンマレイン酸塩12mg
サイシンエキス30mg
カンゾウ末300mg
シンイエキス21mg
ショウキョウ末100mg
無水カフェイン90mg
15才以上1回3錠、14~11才2錠、1日3回食後、11才未満は服用しない
チクナインb
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小林製薬 (8錠中)
辛夷清肺湯エキス粉末2.0g
15才以上1回4錠1日2回朝夕食前又は食間、14~7才3錠、6~5才2錠、5才未満は服用しない
コルゲンコーワ
鼻炎ソフトミニカプセル
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興和 (1カプセル中)
d-クロルフェニラミンマレイン酸塩2mg
ベラドンナ総アルカロイド0.133mg
フェニレフリン塩酸塩5mg
グリチルリチン酸二カリウム10mg
無水カフェイン40mg
15才以上1回1カプセル1日3回、15才未満は服用しない
エスタック鼻炎カプセル12
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佐藤薬品工業
(エスエス製薬)
(4カプセル中)
プソイドエフェドリン塩酸塩120mg
ベラドンナ総アルカロイド0.4mg
クロルフェニラミンマレイン酸塩8mg
サイシン乾燥エキス40mg
無水カフェイン100mg
15才以上1回2カプセル、14~7才1カプセル、1日2回朝夕、7才未満は服用しない
スカイナーAL錠
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エーザイ (4錠中)
アゼラスチン塩酸塩2mg
15才以上1回2錠1日2回朝食後及び就寝前、15才未満は服用しない
ロートアルガード
鼻炎内服薬ゴールドZ
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ロート製薬 (3カプセル中)
メキタジン4mg
プソイドエフェドリン塩酸塩75mg
dl-メチルエフェドリン塩酸塩75mg
シンイエキス24mg
ベラドンナ総アルカロイド0.4mg
無水カフェイン110mg
15才以上1回1カプセル1日3回食後、15才未満は服用しない
ザジテンAL鼻炎カプセル
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グラクソ・スミスクライン・コンシューマー・ヘルスケア・ジャパン (1カプセル中)
ケトチフェンフマル酸塩1.38mg
15才以上1回1カプセル1日2回朝食後及び就寝前、15才未満は服用しない
ベンザ鼻炎薬α
〈1日2回タイプ〉
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武田コンシューマーヘルスケア (2錠中)
塩酸プソイドエフェドリン120mg
d-クロルフェニラミンマレイン酸塩4mg
トラネキサム酸420mg
ベラドンナ総アルカロイド0.4mg
無水カフェイン100mg
15才以上1回1錠1日2回朝食後及び夕食後(又は就寝前)、15才未満は服用しない
クラリチンEX
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大正製薬 (1錠中)
ロラタジン10mg
15才以上1回1錠1日1回食後(毎日同じ時間帯)、15才未満は服用しない

※QLife「お薬検索」データ、医薬品通販サイトランキングデータ、添付文書をもとに、QLife編集部が作成

本調査の概要は以下の通り。

  1. 調査対象:アレルギー性鼻炎で医療機関に通院している患者2,702人
  2. 有効回収数:2,702人
  3. 調査方法:通院する医療機関を通して、患者本人に案内したインターネット調査
  4. 調査時期:2017年7月15日~8月31日

また、詳細な調査報告書はhttp://www.qlife.co.jp/news/171031qlife_research.pdfからダウンロードできる。(QLifePro編集部)