花粉症治療薬はどう処方されている?
QLifeは2016年春の花粉症シーズンに医療機関を受診した花粉症患者1,000人を対象に大規模調査を実施。シリーズ第4回は「処方薬に対する要望と受療継続意識」について紹介する。
調査結果によると、約2割の患者が2016年春シーズン1回目の受診をする前に市販薬を使用していたことがわかったが、それを医師等に伝えていないケースもあり、実態を踏まえずに治療方針が決定されている可能性が示唆された。このような背景のもと、患者は薬をどのように処方されているのだろうか。
花粉症患者の4人に1人「前年に処方されたもの」を要望
2016年春シーズン1回目の受診のとき、花粉症に対する処方薬について、医師等に「要望した」と回答したのは55.8%と過半数に。その内容を見ると、「前年に処方されたものと同じ薬剤」が50.9%で最も多く、花粉症患者の4人に1人は前年と同じ処方薬をもらうために受診している実態が浮き彫りになった。これに次ぎ、「具体的な薬剤名を出して」(33.0%)も5人に1人に上ったほか、「眠くならない成分のある薬」(17.4%)、「早く効果の出る薬」(11.6%)も多く挙げられた。
また、処方薬を要望した人に要望に沿ったものが処方されたかを尋ねたところ、「要望に沿った薬が処方された」と回答したのは87.1%で、その93.2%が処方薬に効果を感じていた。
受診回数少ない理由「症状がなくなった」「多忙」
医療機関への不満はわずか
今回は、受療継続意識についても調べた。2016年春シーズンの受診回数が「1回」または「2回」だった466人を対象にその理由を尋ねたところ、「気になる症状がなくなった」が最多の46.6%で、次いで「自分自身の都合(多忙など)で受診する時間がなかった」が17.4%だった。「病院・クリニックの都合で受診する時間がなかった」(1.9%)や「医師が信頼できなかった」(0.2%)といった医療機関や医療スタッフに対する不満を挙げた人は少なかった。
6割は“自己判断”で治療中止の可能性
ただし、花粉症の症状が最も強いとき(ピーク)を「5」、症状がまったくないときを「0」とした場合、ピークを過ぎて薬(処方薬・市販薬)の使用を中止しようと検討するのはどの段階かを聞いたところ、62.5%は「1」~「5」と答えた。受診回数が1~2回となった理由にもあるように多忙などで受診の時間が取れないことなどから、患者が完全に症状がなくなる前に“自己判断”で治療を中断している可能性が示唆された。
診療まで「1時間待ち」が受療継続の”分岐点”
診療前の待ち時間がどれくらいかかると、その病院・クリニックの次の受診をやめることを考えるかを聞いたところ、「30分以上1時間未満」が27.9%で最も多く、次いで「1時間以上2時間未満」(25.5%)。過半数の患者が「1時間以上」待った場合、次の受診をやめることを検討することがわかった。16.9%は「やめることを考えない」と回答した。
今調査の概要は以下の通り。
- 調査対象:
・花粉症の治療を目的に2016年春の花粉症シーズンに1回以上医療機関を受診した患者500名
・通年性アレルギー性鼻炎患者ならびに患者予備群(自覚症状あり)で花粉症も合併しており、2016年春の花粉症シーズンに1回以上医療機関を受診した患者500名 - 有効回収数:1000名
- 調査方法:インターネット調査
- 調査時期:2016/12/7~2016/12/13
また、詳細な調査報告書はhttp://www.qlife.co.jp/news/170113qlife_research.pdfからダウンロードできる。(QLifePro編集部)