患者は医師に市販薬の使用を伝えている?
QLifeは2016年春の花粉症シーズンに医療機関を受診した花粉症患者1,000人を対象に大規模調査を実施。シリーズ第3回は「診療時のコミュニケーション実態」について紹介する。
調査結果によると、花粉症患者の5人に1人はシーズン最初の受診前に市販薬を使用しており、年間では4割強が市販薬を使っている。 これらを踏まえた治療方針の決定が重要と考えられるが、では、花粉症患者は医療機関での診療時、医師等に市販薬の使用を伝えているのだろうか。
受診前の市販薬使用
「(医師等から)聞かれた」35.6%、「(医師等に)伝えた」 54.5%
2016年春シーズンの最初の受診前の市販薬使用について、医師等から「聞かれた」と回答した人は35.6%にとどまった。一方で、市販の内服薬・点鼻薬を使用した人のうち最初の受診時に「伝えた」のは約半数だった。治療方針の決定にあたって、医師と患者間では市販薬に関するコミュニケーションが十分に行われていないことがうかがえる結果だった。
市販薬の使用「伝えた」 医師等のヒアリング次第で大きな差
医師等から市販薬使用を聞かれた場合と聞かれなかった場合で「伝えた」と回答した人の割合には大きな差があった。聞かれた場合に伝えた人は94.1%であるのに対し、聞かれなかった場合に伝えた人は25.7%と、その差は68.4ポイントに上っている。患者の市販薬使用実態を把握するためには、医師等からのヒアリングが効果的であることが示唆された。
市販点鼻薬の使用伝えず、「聞かれなかった」「伝える必要ない」を理由に
市販薬使用を伝えなかった理由については、内服薬、点鼻薬いずれも「聞かれなかったから」を挙げる人が多かったが、点鼻薬では「伝える必要がないと思ったから」といった回答も目立った。このほか、「いつも常用しているから」「眠れないくらいの鼻づまりで使う程度だから」などの回答が見られ、処方薬とは“関係ない”との認識が持たれている可能性が示された。また、「もう購入したとは答えにくかった」と医師等への“遠慮”から伝えなかったとの声もあった。
また、診療時に医師等に聞きたかったのに聞けなかったこととしては、治療選択肢や薬剤の特徴を知りたいといった要望が一定数見られた。コメントは以下の通り。
疾患関連
- 今後の症状がどうなるのか。現状維持なのか、悪化するのか聞きたかったが、なんとなく聞けなかった
- 5月以降にまたひどくなるのは何が原因か
- 飲酒とアレルギーの関係
治療関連
- 治療法に選択肢はあるのか
- 減感作や舌下免疫など、「対症療法」以外を検討してみたいと思っていたが、慌しくて聞きそびれた
- 最先端の治療法について
- 何の花粉が原因か、検査をするタイミング
薬剤関連
- 新薬の有無
- もっと強力な薬がほしい
- ジェネリック医薬品を処方してくれるかどうか
- 2週間分しか薬がもらえなかったが、1か月分まとめてもらえないか
- 薬の服用後、車両の運転可否を詳細に聞きたかった
- 症状がやわらいでもアレルギーの薬はずっと飲み続けるべきか
- 市販薬と処方薬で同じ名前のものは効果が違うのか
- 処方薬の効果が実感できないが、服薬をやめて確認する勇気がないこと
- 食後に飲み忘れたときは後から飲んでもいいのか
- 目薬の効果、コンタクトとの相性、使用時のコンタクトの可否
市販薬の眠くなる成分認知高い一方、薬剤性鼻炎の原因「知らない」66.1%
今回は、市販薬に関する知識の認知度も調査。眠くなる成分が含まれるものもあることについて、84.9%が何らかの形で知っていた。情報源としては、「医師から」が最も多く51.9%だった。
また、市販点鼻薬の使用は医師等に伝える必要がないと考える人もいたものの、規定の回数や期間を超えて使用することが「薬剤性鼻炎」の原因となることに関しては、66.1%が知らなかった。
今調査の概要は以下の通り。
- 調査対象:
・花粉症の治療を目的に2016年春の花粉症シーズンに1回以上医療機関を受診した患者500名
・通年性アレルギー性鼻炎患者ならびに患者予備群(自覚症状あり)で花粉症も合併しており、2016年春の花粉症シーズンに1回以上医療機関を受診した患者500名 - 有効回収数:1000名
- 調査方法:インターネット調査
- 調査時期:2016/12/7~2016/12/13
また、詳細な調査報告書はhttp://www.qlife.co.jp/news/170113qlife_research.pdfからダウンロードできる。(QLifePro編集部)