医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

Home > トレンド変化の最前線 > 在宅で、薬局窓口で――服薬指導において重要性を増す「服薬補助ゼリー」

在宅で、薬局窓口で――服薬指導において重要性を増す「服薬補助ゼリー」

読了時間:約 3分11秒  2016年09月08日 PM03:30
このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事は医療者のみが閲覧する事ができます。

あなたは医療者ですか?

患者さんに高齢者層が増えるに従って、“薬を飲みやすく”するための工夫がますます現場で求められている。昨今では「服薬補助ゼリー」の普及が進み、様々な製品が出ている一方で、果たしてどんなゼリーを使うのが良いのか?コンビニで売っているお菓子のゼリーではなぜダメなのか?など、患者さんに訊かれて困った経験がある薬剤師もいるだろう。

そこで日本在宅薬学会の理事であり、薬剤師向けセミナー講師を務めることも多い狭間紀代氏に、服薬補助ゼリーの患者さんへのすすめ方についてお話を伺った。

狭間紀代(はざま・きよ)
一般社団法人日本在宅薬学会理事、ファルメディコ株式会社代表取締役会長。昭和40年京都薬科大学卒業。昭和51年12月ハザマ薬局開局。現在も店頭で健康相談を受けるほか、漢方薬認定講師育成セミナーなどを開催して、後進の育成に当たっている。

服薬補助ゼリーが一般化したことで起こった新たな問題

ここ10数年で一般的になってきた服薬補助ゼリーだが、「服薬専用のゼリーを勧めた患者さんや介護者にしばらくしてから確認すると、いつの間にかお菓子のゼリーやプリンなどで代用しているということがあり、ちょっと待って!それは止めて下さいねと言うことがあります」と狭間氏。「そういったものには、糖分や合成着色料、保存料などが入っているうえ、固いゼリーだと、のどに詰まってしまう危険性もあります」。最近では“服薬用“として市販されているゼリーのなかにもそうしたものが時おりあるため、注意が必要だという。

特に高齢者の患者さんへの服薬指導においては、いったん「薬が飲みづらい」と訴えた患者さんがその後スムーズに薬が飲めているという時には(高齢の患者さんの嚥下機能が急に回復することは考えにくいため)、かえって誤った代替品を使用していないかの確認もするという。「かかりつけ薬剤師ならば、“ちゃんとお薬を飲めているか”だけでなく、“どうやってお薬を飲んでいるか”まで把握する責任があるでしょう」とのこと。

きちんとした服薬補助ゼリーの選びかた

高齢者だけではない。若い人の場合でも「薬が飲みづらいということはありませんか?」とこちらから水をむけてみると、案外に困っている人はいるという。「アドヒアランス低下は様々な問題を引き起こします。だから、とにかく 薬を飲んでもらうことが一番大事。昔なら“気合いで飲みなさい!”って怒ってましたが(笑)、今では“こんなのもあるよ”と服薬補助ゼリーを勧めます」。

とはいえ、薬剤費とは別にゼリー費用を追加で負担することに抵抗ある患者さんも少なくない。「だから、それなりの裏付けは必要だと思います。私も薬剤師である前に、お金に厳しい目を持つ“大阪のおばちゃん”です(笑)」

狭間氏は適切な服薬補助ゼリーを選ぶポイントとして以下の3点を挙げた。

薬の作用や吸収に影響を与えないこと

「なんといっても“服薬”のためのゼリーですから、薬との相互作用を起こすリスクは問題外です。糖分・合成着色料や保存料が入っていないものを選びたいですね。また、水で服用した時と同じ作用をしなければ薬効に差がでてしまいますから、胃内での薬の崩壊と成分の溶出にも注意すべきです。その意味で、きちんと溶出試験の結果を公開しているメーカーのものが望ましいでしょう」

飲みこみやすいこと(のどに負担をかけないこと)

「味でごまかすだけで済むなら、わざわざお金を出して買って頂く必要はないでしょう。その意味では、“のどの通りやすさ”“胃までの到達時間の短縮”など、患者さんの服薬負担を実際に減らすエビデンスを提示しているゼリーなら、薬剤師として患者さんに勧めやすいですね。のどへの負担を考えると、ゼリーの固さや粒の大きさなどには注意が必要です。粘性の高いもの、流動性が無いものなどは、かえって誤嚥や 窒息リスクが心配です」

患者さんの健康に影響を与えないこと

「糖尿病の場合はもちろんですが、それ以外の患者さんでも、医師から糖分やカロリー摂取に注意するよう言われている患者さんは少なくありません。ですから、カロリーや糖分が少ないことは重要ですね。さらに、患者さんに勧める立場としては、主なアレルゲンが含まれていないことを確認できるゼリーなら安心です」

“患者さんがきちんと薬を飲める環境作り”も薬剤師の使命

厚生労働省は『患者のための薬局ビジョン』のなかで、「2025年までに全ての薬局をかかりつけ薬局へ」「薬中心の業務よりも、患者中心の業務へ、薬剤師の役割をシフト」を打ち出している。以前から薬剤師は、薬の一包化やOD錠への変更など、少しでも患者さんが薬を飲みやすいようにと配慮してきた。ところが今後はさらに踏み込んで、「目の前の患者さんが何に困っているかをこちらから聞き出し、多様な選択肢の中から患者さん個々の事情に応じて最適な方法を提案する提案力が、かかりつけ薬剤師として求められる時代になった」と狭間氏は語る。

「患者さんが“きちんと薬を飲める”環境をつくること」も薬剤師の使命の1つと言えるのではないだろうか。

(提供:株式会社龍角散)

参考:医療従事者を対象とした「らくらく服薬ゼリー」に関する調査結果

らくらく服薬ゼリーを患者に勧めたいか?


「らくらく服薬ゼリー」の特徴紹介はこちら