がん治療において、体力や体重を維持することは、抗がん剤の治療効果を保つ意味でも非常に重要だ。また、フレイルといった状態に代表されるように、高齢者の体重減少を防ぐことが予防の観点からも重要視されている。そうしたなか、「普段の食事にもう1つ」加える形で、体力の維持に大きな役割を果たすのが、飲みやすい経腸栄養剤の存在だ。「これまでと同じように食卓を囲む」ことは、患者にとどまらず、家族など周囲のQOLにも大きく関わっている。
経腸栄養剤の服用について患者は何を重視しているのかについて、QLifeは、経腸栄養剤を処方された経験のある患者200名、患者家族100名合計300名を対象にインターネット調査を2015年7月に行った。その結果概要を紹介する。
調査対象とサンプル数:経腸栄養剤を処方された経験のある患者(200人)とその家族(100名)
有効回収数:300人
調査方法:インターネット調査
調査時期:2015/7/24~2015/7/27
半数以上が飲む以前と比べて体の調子が良くなったことを実感
経腸栄養剤を飲む以前と比較しての体の調子について、53.0%が「とても良くなった」「やや良くなった」と回答した。
43.3%が2種類以上の味を処方
「冷やす」「他の飲み物と混ぜる」など飲みやすく工夫している患者も多い
43.3%が複数の味を処方されており、21.0%は3種類以上の味を処方されている。
44.3%の患者が指定された量や回数が飲めないことが「かなりある」「時々ある」と回答した。これに対し、「温度を変える」、「他の飲み物と混ぜる」、とろみなどの「形状を変える」など、飲みやすくするための工夫をしている患者は31.7%だった。
飲み続けるために重要なのは「美味しさ」「服用量の少なさ」「味の種類」
70.7%の患者が継続して飲むためには「味が美味しいことが重要」と回答した。次いで「1回の服用量が少ないこと」「味の種類が豊富なこと」の順となった。
経腸栄養剤の味と服薬アドヒアランスの関係についての患者・患者家族調査 結果報告書
今回の調査を監修した、いしが在宅ケアクリニックの石賀丈士院長は以下のようにコメントした。
「経腸栄養剤は、医薬品でありながら、味が選べたり、ある程度ならば飲み方に工夫ができたりと、患者さん自らが“おいしく飲む”やり方を選択できる医薬品です。医師や薬剤師は患者に対し、ただアドヒアランスを確認するだけでなく、おいしく飲む工夫を積極的にアドバイスしてほしいですね」
いしが在宅ケアクリニック 院長 石賀丈士(いしが・たけし)先生