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全国てんかんセンター協議会総会2015レポート【2/4】学習機会作り専門医と看護師を育成/大学が担うべき役割と現状を報告

読了時間:約 2分14秒  2015年05月19日 AM10:00
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全国てんかんセンター協議会総会(大会長:前原健寿氏:東京医科歯科大学脳神経外科教授)が2月14日、15日の2日間、東京医科歯科大学内にて開催された。期間中は各地のてんかんセンターからの現状報告、てんかん基礎講座、教育講演など多岐に渡る発表が行われた。

それらの講演の中から、シンポジウム2「てんかんセンターの現状と課題2」の概要を全4回に渡りお伝えする。今回は、東京都立神経病院脳神経外科の森野道晴氏と、国東北大学大学院てんかん学分野の中里信和氏の講演を紹介する。

【全国てんかんセンター協議会総会(JEPICA 2015)】
 2015年2月15日:東京医科しい大学M&Dタワー(東京)
 座長:亀山茂樹氏(国立病院機構西新潟中央病院 脳神経外科)
    中里信和氏(東北大学大学院医学系研究科 てんかん学分野)

※この記事は株式会社ライフ・サイエンス「MEDICAMENT NEWS」第2193号(2015年4月25日発行)掲載誌面をもとにQLifePro編集部で一部再構成したものです。

学習機会作り専門医と看護師を育成

東京都立神経病院脳神経外科の森野道晴氏は「東京都立神経病院 てんかん総合治療センター設立の今後の問題点」と題して、同センターで実践している各種取り組みを報告した。

同院は、てんかん外科の増加に伴い2014年8月にてんかん総合治療センターを開設した。手技を習得したい若手脳外科医の受け入れも行っている。森野氏は今後の課題として、てんかん専門神経内科医、看護師、脳外科専門医を目指す若手教育を挙げる。

神経内科医の育成については、平日朝に脳外科と神経内科で合同カンファレンスを実施する。カンファでは術前検討、脳波所見の検討などを行う。看護師の育成についても、院内で「てんかん患者の看護を考える会」を行う予定だ。同会では臨床の現場で生じたトラブルを手本に看護学を学ぶ。若手の育成については、月2回の頻度で勉強会を実施。臨床で遭遇した事例や疑問を主題に若手医師が講師を務めるセミナー形式で行われている。

森野氏は「総合治療センターという看板を掲げた以上は、日本一のセンターになる努力が必要だ」と述べ、内科てんかん専門医とてんかん外科ができる外科医の育成、看護を含めた総合治療体制の確立などに意欲を示した。

大学が担うべき役割と現状を報告

東北大学大学院てんかん学分野の中里信和氏は、専門診療における「危険な誘惑」について講演を行った。

1つめは「新患枠を増やしたい」「外来だけで勝負をしたい」いう誘惑だ。

入院検査による鑑別診断を重視する中里氏は、てんかん科が保有する4床のてんかんモニタリグンユニットで実施可能な検査枠「年間200人の新規入院の確保」を新患の上限として、実質的には新患の数を絞り込んでいる。

現在の新患外来は3か月待ち。スタッフから「新患枠をもう1枠増やしましょう」と提案されたが、中里氏は「数で勝負してはダメだ」と諌める。入院検査を伴わないで新患外来を増やしても、問題は解決できないからだ。

2つめは「なじみの患者を増やしたい」という誘惑だ。治療によって患者の状態が改善すれば、最後までその患者を見たいと思うのは心情だろう。しかし中里氏は、再診に忙殺されると入院検査や外科治療など大学本来の任務が果たせないと指摘。たとえ患者が希望したとしても、状態が良くなれば近医に逆紹介するべきだと訴える。

3つめは「スタッフの囲い込み」という誘惑だ。自施設で人が育てばずっと一緒に仕事をしたくなるものだ。しかし中里氏は「良い大学は外に種をまく」として、優れた人材を輩出することも大学病院の責務だと述べた。

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