てんかん患者の7~8割は「正しい診断と適切な薬物治療」によって発作の不安から解放される。こうした患者たちが副作用などを理由に服薬を拒否し、発作を再燃させてしまうことのないよう、薬剤選択や治療の進め方には細心の注意が必要だという。
効果と副作用のバランスおよび服薬継続率について、日本医科大学脳神経外科学教室講師、日本医科大学武蔵小杉病院脳神経外科講師・医長の太組一朗先生に聞いた。
薬物療法の基本は単剤投与
てんかんの治療は病気を知ることから始まる。「本当にてんかんなのか」を見極めたうえで発作型(部分発作、全般発作)の診断をし、その分類に従って適切な薬剤を選択する。
基本として、発作型に合った第1選択薬を単剤使用し、効果が十分得られない場合には2番目の薬を単剤で試み、それでも発作が治まらない場合は第3の選択薬を単剤あるいは2剤同時に用いる。
「これは『米国エキスパートコンセンサスガイドライン』をはじめ、世界的にコンセンサスが得られた治療戦略ですが、日本では単剤で使える有効な薬剤が極めて限られていたため、これまで実現することが困難な状況でした」と太組先生は語る。
新規抗てんかん薬は服薬アドヒアランスの向上に寄与
2006年以降順次、新規抗てんかん薬(ガバペンチン、トピラマート、ラモトリギン、レベチラセタム)が国内でも使えるようになった。「副作用が少ないことが、新規抗てんかん薬の最大のメリットといえます。てんかん治療の成否を左右する服薬継続率の向上が期待できるからです」(太組先生)
たとえ効果が得られる治療であっても、副作用がひどくて生活に支障をきたすようであれば、薬物療法は成功しないのだという。「患者本人も効果を実感しているのに『めまいが起こる』『情報処理能力が落ちる』といった副作用から併用薬の服用をやめてしまい、発作が再燃したケースを何度も経験しています」(太組先生)
(この連載はグラクソ・スミスクライン株式会社提供の「News Letter てんかん 第4便」をもとに、QLifePro編集部が編集、一部加筆したものです)