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てんかん治療の主軸である薬物療法の現状と課題【3/4】診療ガイドラインの周知・徹底が治療の均質化に不可欠

読了時間:約 1分36秒  2014年12月25日 AM10:30
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多くのてんかん患者の「かかりつけ医」として一次医療を支えているのは、内科をはじめ、神経内科、小児科、精神科、脳神経外科などの非専門医だ。

非専門医にとってのてんかん診療のポイントを静岡てんかん・神経医療センター 統括診療部長 久保田英幹先生に聞いた。

発作型に応じた薬剤選択が重要

「てんかんの薬物療法は、各発作型でまず検討すべき第一選択薬もほぼ決まっており、発作型に応じた薬剤選択が何より重要です」(久保田先生)

しかし、この第一選択薬の認識が診療科ごとに食い違っていることがあり、臨床現場ではしばしば問題になっている。

「意外に知られていないのですが、薬剤選択を間違うと、それぞれの発作型にとっては無効であるばかりか、かえって病態を悪化させてしまうこともあります。例えば、全般発作に分類されるミオクロニー発作は、しばしば症状が部分的にあらわれることがありますが、このとき誤った診断を下して、部分発作の第一選択薬を用いた場合、ミオクロニー発作や欠神発作を悪化させたり、最悪のケースでは、それまでなかった新たな発作が出現することさえ考えられます。また、全般てんかんは複数の発作型が併存することも多く、用いる薬剤は慎重に選ぶ必要があります」(久保田先生)

患者やその家族との会話の中からヒントを見い出す

久保田先生はまた、医師の専門性を問わず、薬剤治療時に忘れがちな「生活指導の大切さ」についても強調。

「その人にとって発作の誘発因子は何か。徹底した病歴聴取に始まる患者さんやその家族との会話のなかにヒントを見い出し、一人ひとりに合った適切なアドバイスをすることが大切です」と語った。

若年ミオクロニーてんかんに代表されるように、てんかんは服薬以外にもさまざまな生活の工夫により発作のコントロールが可能だ。しかしながら、発作の誘発因子は個別性が高く、画一的な生活指導はかえって患者の反発を招くおそれがある。

「患者さんやその家族は不安のあまり、偶然のできごとを因果があるように捉えがちです。例えば、以前、“低気圧の日は発作が起こるから子どもを外に出さない”という母親がいました。1年間にわたり発作表に気圧を書き加えて、気圧と発作が無関係であることが分かり、その母親の“雨の日の外出禁止令”は解けました。発作の誘発因子を明らかにすることは、こうした根拠の無い行動制限から患者さんやその家族を救い出すことでもあるんです」(久保田先生)

(この連載はグラクソ・スミスクライン株式会社提供の「News Letter てんかん 第3便」をもとに、QLifePro編集部が編集、一部加筆したものです)