厚生労働省の「国民健康・栄養調査(2010年)」によると、日本人の高血圧有病率は年齢とともに上昇。60歳代では男女とも6割以上に達している。また、抗血小板薬等の年齢別服用率も60歳代から急上昇し、80歳代では約20%が服用(和田伸一ほか:血栓止血誌19(6):739,2008)している。
このような循環器ならびに代謝系疾患を持つ患者の望ましい疼痛治療について、自身も多くの糖尿病患者を診てきた東京医科大学内科学第三講座 主任教授の小田原雅人先生に話を伺った。
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内科系医師、整形外科系医師に対し、双方の受診を伝えないケースも
循環器ならびに代謝系疾患と疼痛治療で、内科系ならびに整形外科系施設を受診する患者の中には、「関係無いから」と自己判断し、双方に他科受診を伝えない患者も少なくない。「NSAIDsによる薬剤誘発性高血圧のほか、NSAIDsとワーファリンによる抗凝固作用の増強や、サリチル酸系NSAIDsと糖尿病治療薬による低血糖など、NSAIDsの相互作用により、内科系疾患の治療が影響を受ける症例が時折見られます」(小田原先生)
同一施設の複数科受診や処方箋薬局を1つに絞ることで、これらの相互作用を未然に防ぐことは可能だが、全ての患者がいわゆる「かかりつけ薬局」を持っているわけではないのが現状だ。
痛みが長引くと新たな血圧上昇の原因にも
「高血圧治療ガイドライン2009」では、薬剤誘発性高血圧への対策として、NSAIDsの減量・中止や使用降圧薬の増量、Ca拮抗薬を挙げている。「痛みをとることも重要ですが、昇圧効果の少ないNSAIDsにするなど、血圧への配慮もしてほしい」と小田原先生。「生活習慣病や糖尿病治療での運動療法を確実に実行してもらうことが重要。痛みや炎症が持続すると、運動不足になり、治療の意欲も低下し、さらなる血圧上昇などのリスクを負う可能性があります」(小田原先生)
患者とのコミュニケーションが医療者のリスクも減らす
小田原先生はさらに「患者が進んで他科での受診状況を報告するような、コミュニケーションを取ることが重要」と語る。「薬剤誘発性高血圧のほかにも、NSAIDs潰瘍などさまざまなリスクがあります。しかしながら、NSAIDsの消炎鎮痛作用は、痛み治療において不可欠といっても過言ではありません。NSAIDsの効果と気を付けるべき点をしっかりと患者に伝えて、納得して治療・服薬を続けていただくことが、内科系ならびに整形外科系施設双方の先生にとっても良いことになると思います」(小田原先生)
小田原雅人先生(東京医科大学内科学第三講座 主任教授)
昭和55年 東京大学医学部医学科卒業
平成2年 東京大学付属病院 助手
平成4年 筑波大学臨床医学系内科(内分泌代謝科) 文部教官講師
平成8年 英国オックスフォード大学医学部 Clinical Lecturer(講師)
平成12年 国家公務員共済組合連合会、虎の門病院 内分泌代謝科部長
平成16年1月 東京医科大学 内科学第三講座 主任教授
平成16年4月 東京薬科大学 客員教授 併任
平成21年9月~平成24年8月 東京医科大学病院 副病院長
(提供:ファイザー株式会社)