非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)から消化管傷害を軽減させる目的で開発されたCOX2阻害薬のセレコックスを2007年に世に送り出したファイザーだが、2010年には帯状疱疹後神経痛を適応とする神経系鎮痛薬・リリカを発売。同薬は現在、より幅の広い「神経障害性疼痛」へと適応を拡大した。さらに2013年9月には日本新薬が製造販売承認を保有するオピオイド系がん疼痛・慢性疼痛治療薬・トラマールの国内独占的販促活動を受託した。
今後同社は疼痛領域の医療現場へどのような貢献を果たしていくのか。かつて同社の営業現場で消炎鎮痛薬領域も担当し、現在はトップの地位にある梅田一郎社長に話をうかがった。(村上和己)
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-まず御社にとって疼痛領域の位置づけについてお聞かせください
私がファイザー日本法人の社長に就任したのは2009年ですが、その時点で既に疼痛領域がファイザーにとって非常に重要な領域となっていました。これからも疼痛領域は、当社の注力領域の1つとして、一人でも多くの患者さんの痛みを軽減させるために、さまざまな情報提供をしていきたいと考えています。
-梅田社長自身が疼痛治療の変化を感じることはありますか
私が営業現場で担当していたのは約四半世紀前になりますが、かつてはステロイドとそれ以外にNSAIDsという大きな括りの中に数多くの製品がありましたが、今から振り返れば疼痛に対する薬物療法は非常に限られたものでした。しかし、現在では当社が販売しているリリカのように神経障害性疼痛に対する治療薬も登場し、当社自身がより幅広く疼痛全般をカバーできるようになりました。疼痛治療全般での選択肢の広がりを感じると同時に、この領域で当社が担う責任の大きさをひしひしと感じています。
-ではそうした治療を選択する患者さんの意識については経時的な変化を感じていらっしゃいますか。
医療全般の問題として患者さんのニーズは年々より高度な医療を受けたい、あるいは他に選択肢をという要望が高まっているのと同時に医療を見る目も厳しくなっているのは間違いないことで、これは疼痛領域にも共通することです。
その意識上の変化の一方で、まだ疼痛に関しては医師にどのように伝えていいかわからないという患者さんが多くいらっしゃいます。医師の多くが、より患者さんの気持ちを理解するために、さまざまなコミュニケーションのやり方を行っていますが、他方で患者さんの中には、まだまだ医師への遠慮という概念は消えていないかもしれないと考えています。
-ただ、現実には疼痛で医療機関を受診すると、NSAIDs+胃腸薬という古典的な処方はまだまだ少なくありません。
我々としては神経障害性疼痛治療薬のリリカを発売したことを契機に、ドクターtoドクターの形で疼痛領域の専門医などから疼痛の発生メカニズムには、様々な原因があり、各薬剤がどのような作用機序で効果を発揮するかなどの情報発信を積極的に行っています。
まだまだ道半ばですが、以前と比較して疼痛治療の考え方は広がっているように感じます。
-そのような中でファイザーとしては具体的にどのような取り組みを行っていますか。
まず、医師の先生方に情報提供を行うMRは、疼痛領域に関して個々の製品別ではなく領域全体の訓練を受けた専任スタッフを配置しています。恐らく製薬企業の中で疼痛全般に関して疾患の分類や治療法の選択肢などについて十分な知識を有する専任MRを配置している例は当社ぐらいではないでしょうか。当社の疼痛専任MRは、疼痛全般に関する治療について、その疼痛が対応する疾患、それに対応する薬剤選択、さらには標準的な治療薬が効果を発揮しないときに既に患者さんが服用している薬剤の増量の是非、併用療法の選択肢、他の薬剤選択や代替療法などについてトータルにご相談にのることができる体制を整えています。
-従来から疼痛はありふれたアンメット・メディカル・ニーズとも言われ、医師だけではなく看護師も含めたコメディカルの方々にとっても日常的に重要なテーマと言われています。
疼痛領域に限らず、多忙な医師に代わって看護師などのコメディカルの方々が患者さんの症状をどれだけ適切に聴取できるかとの重要性は医療現場では年々高まってきています。
患者さんは、遠慮する気持ちからか、治療を受けている医師から「具合はどうですか?」と問われると、それほど症状の改善を実感していなくとも、「いいみたいです」と答えがちです。そこで出なかった本音の部分をコメディカルの方々が患者さんに声をかけることで得られると思います。
例えば薬物療法を受けている患者さんの場合、かなり改善してきたものの、痛みやしびれが若干は残っている場合もあり、このような場合に医師と患者さんとの間にコメディカルの方々が介入して医師・患者のコミュニケーションが改善されたという例も耳にします。コメディカルの方々の学ぼうとする意欲は非常に旺盛で、我々が疼痛に関する研究会・講演会を開催する際にはこうしたコメディカルの方々が医師とともに参加することも増えています。そうしたことを受けて、私たちは「患者さんにどのような尋ね方をすれば、医師にとっても役立つ情報が引き出せるか」というような情報提供も行っています。
-一方で患者さんの方も医師に疼痛のことを上手く伝えられない、あるいは相談していいのかという悩みもあると聞きます。
疼痛、痛みというのはありふれたものである分、痛みを持っている患者さん自身も治療法があるかもしれないと思いつつも、医療機関の受診までは至らないというケースが少なからずあると認識しています。
我々が現在、神経に関する痛みのTVCMを行っているのは、一般の皆さんへの啓発を通じてそうした方々が我慢して症状を悪化させることがないよう、さらには日常生活での注意点など気をつけなければいけないことの知識を身につけられるよう、医療機関、専門医へ相談するよう促しています。同時に医療機関向けに、タイプが違う疼痛や疼痛に関して頻出する異なる表現、メカニズムや治療法を適切に分類して考えていただくための情報提供も行っています。具体的には、疼痛の原因に応じた治療に関する医師用トレーニング資材や患者さん向けに痛みの種類や治療法を解説したパンフレットなども用意して情報提供を行っています。
-ファイザーが疼痛領域で幅広い情報提供がワンストップで行えるようになったことで、医療現場から寄せられる問い合わせ・要望も増え、医師の期待値も上昇しているのではないでしょうか。
セレコックス、リリカとエピペンで開始した
電話とパソコンを利用したディテーリングサービス
『PfizerPRO CONNECT』
多くの治療薬を有するだけでは弊社の疼痛領域戦略が達成できるとは考えていません。薬剤には必ずリスクが伴います。その薬剤が適正に使用されて初めてその薬剤の存在意義があります。今回、疼痛領域のラインアップが拡充したことで、専任MRを通じて当社の疼痛に関する情報提供の質が一段上がり、医師とMRの間で交わされる会話もより専門化する傾向が見られてきました。研究会・講演会などで、医師同士の質疑応答などを通じて、こちらも気づきの連続という毎日です。
現在、疼痛に関しては会社としてもMRとしても、患者さんのQOL向上のために、先生方とのコミュニケーションを通じ、多くの治療薬の提供と適正使用推進を目的とした情報提供を行わせていただく。そのためにも、専任MRを中心による幅広い活動を通して、疼痛に関してMRがカバーできない情報はないというところまで会社全体で進化していきたいとの希望を持っています。
(提供:ファイザー株式会社)