医療者のための手帳「メディカル手帳2014」をプロデュースした東海大学 医用生体工学科 教授の高原太郎先生による医療者のためのスケジュール管理術。最終回では、応用編として「効果的な仕事の優先順位の付け方」についてうかがった。
■スケジュールをS・A・B・Cで分けて優先順位の「見える化」を
スケジュール管理が苦手な方の特徴の1つに仕事の優先順位付けがある。大事なこととは分かっていながら、ついつい「全ての仕事が最優先で、何から手をつければいいのか分からない…」となっている方も多いのでは?そんな状況の打開策に高原先生は「仕事をS・A・B・C」で分けることを提案する。
- 吉永さんにtel
- 学会発表準備(ppt)
- 切手購入(50円×20枚)
- 教授に相談(研究)
- 水泳
「思い出す順番にTO DOを書くと、こんな風ですね。TO DOリストは、そのままにしないで、すぐに時間軸に落とす約束で手帳に書くと“実現”するわけですが、そのときに記入の順番があるんです。優先ランクを、成績になぞらえて、S・A・B・Cと意識すると簡単にできるんですよ」高原先生はそう言って、黒板にS・A・B・Cそれぞれの内容を記した。
「まず、Sランクは、相手とのアポを入れる仕事です。いつアポが入るかは他人次第になりますから、これを最初にやるわけですね。Aランクが、『自己実現』を目指した手帳術の真骨頂で、ここに『(自分の)やりたいこと』が入るわけです。次にB(締め切りのある仕事)、C(ついでの仕事)の順番で入れていくんですね。では、実際にランク付けしましょう」(高原先生)
- 吉永さんにtel・・・・・・・C
- 学会発表準備(ppt)・・・・B
- 切手購入(50円×20枚)・・C
- 教授に相談(研究)・・・・S
- 水泳・・・・・・・・・・・A
「仕事がうまく回らない人の特徴は、この『S(教授アポとり)』が後回しになってしまうことですね。『B(学会発表準備=パワーポイント作成)』をなんとなく先に始めてしまい、完成が見えた頃に教授に相談すると、『今週はもういっぱいだから来週に』と言われてしまい、実際に来週に見てもらったら発表日が近づいているのに大修正、てんやわんやで準備がきつくなり、寝不足になり…というパターンです。教授のアポ取りは月曜日の午前8時とかに試みるといいんですよ。年をとっている人は早起きなのですでに病院にいますから(笑)、うまくつかまえて簡単にアポを取ることができます」(高原先生)…そういえばこのような泥縄パターンはよく耳にするものだ。
「次に、A(やりたいこと=水泳)を入れるのですが、これは例えばストレスの貯まる医局会の後に設定しておくんです。普通だったら疲れて何もせず、ぼーっとする時間ですが、予定しておくと、ぱっとプールに行って『やりたかった』水泳ができる。ストレス解消にもなりますし自分が『できる』人間になった気分が味わえます。あとは、この例の場合では、教授との次回アポに間に合うようにB(スライド作成)の予定を組んでおき、C(その他の仕事)はバイト病院などすこし緩めの仕事のときに入れておくわけです。やりかたは前回の記事で触れましたね」(高原先生)
これまで3回にわたって、デジタル全盛の時代に敢えてアナログを使うことのメリットをお伝えしてきた。たった1冊の手帳と簡単なルール付けで、あなたが願う自己実現のいくつかが、実際に「実現」できる日も、そう遠くないのかもしれない。
高原太郎(たかはら・たろう)
昭和36年(1961年)東京都生まれ
秋田大学医学部卒業
東海大学工学部 医用生体工学科 教授
オランダ・ユトレヒト大学病院 放射線科 客員准教授
医学博士、放射線科専門医、磁気共鳴医学会理事(2008-2011)
参考リンク:メディカル手帳2014
医療スタッフのための新しい手帳。アナログの力と医療従事者のためのこだわり機能で自己実現を加速させる一冊。3500円。