個人規模医院の43%が「就業規則」を未整備
労働基準法で「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成して、提出しなければならない」ことになっている。大規模医院(30人以上)ではさすがに未整備施設は皆無だが、中規模医院(10~29人)では1割が違反をしているようだ。個人規模医院では43%が就業規則を未整備であった。
「業務多忙」な施設の方が、「研修・資格取得を支援」する傾向
注:「支援」は、「日常の業務上での指導」は除外
給料以外の待遇として、「やる気がある職員」に対して有効なのは、スキルアップの支援と言われる。医院の医療提供レベルが上がるため一石二鳥の策であるが、はたして実状はどうか?研修参加や資格取得支援など具体的な支援をしている院長は、全体では30%であった。
ただし経営規模別・収益状態別にみると大きな差が出た。大規模なほど、また収益好調なほど、職員のスキルアップ支援に熱心な傾向が顕著だ。そして注目すべきなのは、仕事量別の傾向だ。「日頃の仕事が忙しくて、なかなか外部の研修に行かせられない」との言い訳が時々聞かれるが、実態はその逆であった。すなわち、職員が忙しく働いている医院ほど、スキルアップの具体的支援がされていることがわかった。
スキルアップ支援の具体的内容としては、「休みが取れるようにする」「費用を出す」「日当を出す」が多い。
研修参加・資格取得支援の具体例
- 専門資格(健康情報管理指導士、准看から正看への進学等)の取得支援。(大規模/男性 51歳 香川県)
- 資格試験の為の講習会に、費用をこちら持ちで参加させている。(中規模/女性 54歳 栃木県)
- 社外講習会などに積極的に参加させている(業務として)。(個人規模/女性 38歳 香川県)
- 各種セミナーには費用・交通費・日当などを負担している。(大規模/男性 49歳 静岡県)
- 事務職員は意欲があれば、医療事務の資格を取ってもらう。(小規模/男性 50歳 岐阜県)
- 積極的な資格習得のための時間をとれるようにしている。(中規模/男性 43歳 和歌山県)
- 学会参加費の援助またその際の宿泊・交通費の援助。(小規模/男性 36歳 北海道)
- 感染症対策の講習会の開催、正しい手洗いの実践。(小規模/男性 50歳 三重県)
- 学会や講習会への参加、専門誌の購読料の負担。(小規模/女性 47歳 東京都)
- 年に一回は研修会参加の資金援助を行っている。(中規模/男性 51歳 愛知県)
- 研修希望時は休みが取れるように配慮している。(個人規模/女性 45歳 東京都)
- 研修等希望があれば行けるように配慮している。(中規模/男性 50歳 福岡県)
- 医師会、保険医協会の講習会への参加を促す。(小規模/男性 52歳 愛知県)
- 授業料は、3年勤めればチャラにしている。(小規模/男性 52歳 愛媛県)
- 一人、看護学校への通学を支援している。(大規模/女性 39歳 大阪府)
- 研修や研究会への参加経費を出している。(中規模/男性 54歳 大分県)
- 学会参加費用負担、研修会参加費用負担。(個人規模/男性 53歳 東京都)
- 定期的・不定期の勉強会、学会出張支援。(個人規模/男性 38歳 香川県)
- 資格取得希望者には破格の待遇を与える。(小規模/男性 42歳 島根県)
- 年2回の研修の全面的支援(出張扱い)。(小規模/男性 48歳 青森県)