厚労省のデータによると、この10年で3倍以上と、急激に患者が増加している不眠・睡眠障害。しかし、患者の多くは治療に対し抵抗感を抱いており、受診率は上がっていない。そこで今回、患者も含めた一般の方を対象に、不眠症治療に関する大規模調査を行った。一般的な「不眠治療」へのイメージと不眠症患者の「不眠治療に求めるもの」を探っていく。
▼実施概要
(1)調査対象:全国のインターネット利用者
(2)有効回収数:6044人
(3)調査方法:インターネット調査
(4)調査時期:2012/3/31~2012/4/15
42%の人が不眠の症状に悩む。しかし、医療機関を受診したのは半数弱
過去3年以内に「寝付きが悪い」「夜中に何度も目が醒める」などの不眠の症状に悩んだ経験があるのは全体の42%。不眠の症状が起きたきっかけとして多かったのは、「ストレス」や「疲れ」によるものや「うつ病」や「糖尿病」の症状、そして2011年の東日本大震災をきっかけに不眠症状が起きてしまった、との回答も多く見られた。
しかし、そのうち半数以上が医療機関を受診していない。理由として多かったのが、「深刻ではない/そのうち治るから」「不眠症治療薬を服用することに抵抗がある」だった。
患者の半数は「かかりつけ医」を受診。治療薬に求めるものは「熟睡感が得られること」
医療機関を受診した患者の半数は「かかりつけ医」を受診している。患者が不眠症治療薬に求めるものは、多い回答から「熟睡感」「素早い入眠作用」「安全性」など。最も処方された薬はマイスリーだった。しかし一方で、約半数の患者が「治療の過程で医師に薬の変更を求めたことがある」と回答している。
3人に1人が「不眠で悩んでいることを周囲に言いづらい」と考えている
また、今回の調査では、「不眠治療」や「不眠症治療薬」に関するイメージも聞いている。
不眠症治療について、過半数が「体に害があったり、副作用や薬物乱用」といった悪いイメージを抱いており、これは受診経験の有無であまり差がない。治療中の患者であっても不安を持ちながら薬を服用している割合が少なくないことが分かった。
以上の結果について、スリープ&ストレス クリニック院長 林田健一先生は、「不眠治療において、われわれ専門医は睡眠の“量”だけでなく“質”や“リズム”も重要視します。たとえ、睡眠時間を確保できたとしても、寝床についてからなかなか入眠できなかったり、逆に起きた後も“もうろう”としていては“不眠が解消された”とはなりません。その意味では、今回の調査で処方の多かったマイスリーに代表されるような超短時間型・短時間型の不眠症治療薬は、“切れ”の良さと“持ち越し”の少なさで、安全性と患者満足の双方を兼ね備えている治療薬といえます。今後も不眠に悩む患者は増える傾向にあり、専門医だけでなくプライマリケアの先生方も診断されることが多くなると思います。その際には、睡眠の“質”や“リズム”にも目を配っていただければと思います。」と述べている。
スリープ&ストレスクリニック 林田健一先生
不眠症治療ならびに不眠症治療薬に関する 大規模調査