長崎大学は、薬学部の薬学科(6年制)と薬科学科(4年制)について、長崎市内にある現在の文教キャンパスから同じ市内の医学部や大学病院等が入る坂本キャンパスに移転する。10日の定例会見で公表した。8日の役員会で再編構想を決定したもので、移転時期は未定。生命科学系学部を一つのキャンパスに集約することにより、教育・研究の効率向上を目指す。永安武学長は「18歳人口が減少する中で、いかに大学が生き残るかを考えると、まずはどのようなキャンパスを作るかを掲げた上で進めていく必要がある」とコメントした。
薬学部は現在、大学事務局や工学部等と共に文教キャンパスに入っているが、キャンパスの分散と機能の混在、教育研究スペースが手狭になっていることや、施設の機能的劣化といった課題が見られており、学際融合の推進や人口減少を見据えた改革の促進、キャンパスの共創拠点化等も大学に求められていた。
そのため、同大は2024年7月に「キャンパス再編構想」を示した学長試案を公表。再編の方向性として、研究成果を地域社会に還元する機能の整備を通して地域創生に貢献することなどを掲げ、薬学部を文教キャンパスから医学部、歯学部、大学病院等が入る坂本キャンパスに移転することとした。片淵キャンパスにある経済学部も文教キャンパスに移転し、文教キャンパスに隣接する県振興局の用地も取得して敷地拡大し、新校舎を整備する目指す考えも示している。
薬学部を坂本キャンパスに移転することで、生命科学系である医学部、歯学部とより連携しやすくなり、教育と研究に関する効率を上げる狙いだ。以前からキャンパス移転を検討してきたが、産業界など学内外で意見交換を重ね、移転に必要な予算のメドも立ったことなどから、正式に移転を決めた。
永安氏は「いかに大学が生き残るかを考えると、まずはどのようなキャンパスを作るかを掲げた上で進めていく必要がある」と再編の意義を強調した。
薬学部の2024年10月時点の在学学生数は、薬学科263人、薬科学科170人の計433人。第110回薬剤師国家試験の合格率は総数で91.67%(44人)、新卒に限ると95.24%(40人)と、共に国立大の平均合格率を上回っている。