デイサービス・子ども食堂など地域の居場所、都内15か所をヒアリング調査
上智大学は3月31日、誰もが安心して過ごせる「居場所」を地域社会につくるためのハンドブックを作成したと発表した。この研究は、同大総合人間科学部、慶應義塾大学看護医療学部・環境情報学部、順天堂大学医療看護学部に所属する研究者で構成された研究グループによるものだ。

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さまざまな課題を抱えた子どもから育児をしている人たち、高齢者、障がい者といった多様な属性を持つ地域住民が増加している。その中で、「居場所」を地域に数多くつくっていくことが求められている。例えば、高齢者に対しては、介護保険制度によって提供されているデイサービスなどが一つの居場所となりえる。しかし、要介護認定を受けていない方にとっては利用が難しい場合がある。子どもに対しては、子ども食堂やフリースクールなどがさまざまな問題を抱える子ども達の居場所となっている。しかし、運営している方々や団体の熱意や努力に頼っている場合が多い。そのため、寄付金等の運営資金が十分でないことや、運営されている方々が高齢となることで活動継続が困難となり閉鎖せざるをえない状況が生じている。一方で地方自治体や民間企業、地域の民生委員の方々と協力するなど、他の組織・団体等と連携し、地域社会の人々とともに発展している団体もある。このような先駆的な「居場所」の取り組みを学ぶことで数多くの「居場所」を地域社会に増やしていくことにつながると期待される。なお、今回、研究グループは「居場所」について、子どもから高齢者まで、誰もが自己肯定感や安心感を持って落ち着いて過ごすことを目指す場所として捉えている。
今回の研究では、東京都内にある15か所の「居場所」を訪れ、運営されている方々を対象として、開設の動機や想い、開設時の状況、現在の運営状況、活動の工夫や大事にしていることなどについてのヒアリング調査を行った。
先駆的な活動例をもとに、居場所をつくるステップを解説
これらのヒアリング調査の分析の結果、運営のポイントをまとめ、居場所をつくっていくためのステップを「仲間を集める」「居場所を形づくる」「居場所を支える」「居場所を引き継ぐ」の4つにまとめた。今回作成されたハンドブックでは、この4つのステップごとに、「居場所」をつくっていくためのポイントを地域住民の方々に理解しやすい表現で説明している。事例として15か所の「居場所」を2ページでコンパクトにまとめ、先駆的な活動例をもとに「居場所」を新しくつくりたいと思う者が参考にできるように工夫している。
なお、今回の活動は令和6年度の「東京都と大学との共同事業」として行われたもの。ハンドブックは、東京都のウェブサイトで公開されており、誰でも入手可能だ。東京都は、「大学との定例懇談会」に参加する大学との連携の一環として、東京の持続的発展やSDGsの推進に資する大学の取組を支援する「東京都と大学との共同事業」を実施している。
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