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子宮頸がん検査に関する知識、アジア・パシフィック8か国・地域で日本は最低-ロシュ

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2025年04月11日 AM09:00

APAC地域の女性3,473人を対象に調査

ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社は4月7日、日本を含むアジア・パシフィック(以下、APAC)の8つの国・地域で、25~50歳の女性3,473人を対象に女性の健康管理に関するインターネット調査を行い、結果を発表した。調査の内訳は、シンガポール(351人)、タイ(354人)、日本(353人)、韓国(351人)、ベトナム(351人)、インド(1,001人)、香港(362人)、台湾(350人)だった。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

女性の健康に関する検査/検診などの知識、日本女性で低い傾向

子宮頸がん検査または検診に関する質問では、「知識は豊富だと思う(3%)」「ある程度の知識があると思う(23%)」と日本の女性は全体の3割を下回り、APAC8か国・地域中で最も低い結果に。「あまり知識はないと思う(32%)」「全く知識はないと思う(42%)」が7割以上になった。

また、女性の健康に関連する検査または検診、ならびに臨床検査または検診に関しても、日本の女性は知識不足の割合が高い傾向にあり、「あまり知識はないと思う」「全く知識はないと思う」が7割を上回った。

HPV検査が受けられるようになったことを「聞いたことがあり、理解している」15%

子宮頸がん検査または検診、女性の健康に関連する検査または検診、および臨床検査や検診について、「知識は豊富」または「ある程度の知識があると思う」と回答した日本の女性(224人)に、これらのトピックに関する知識はどのようにして得たか尋ねたところ、「インターネット(医療情報サイトなど)(34%)」「医療従事者/かかりつけ医/産婦人科医(29%)」が上位に並び、「家族」「学校」は10%未満という結果だった。

さらに、2024年4月から、WHOが推奨し厚生労働省が認める子宮頸がんの検査として、HPV検査が受けられるようになったことについて尋ねたところ、「聞いたことがあり、理解している」15%、「聞いたことはあるが、プロセスは理解していない」27%だった。

学校で習った女性の健康に関するトピック、「子宮や子宮頸がん」14%

学校で習った女性の健康に関するトピックについて日本の女性(353人)に尋ねたところ、「月経(75%)」が最も多く、「性教育(47%)」「性感染症(22%)」「子宮や子宮頸がん(14%)」「乳がん(12%)」と続いた。「健康診断に関する情報(地方自治体のプログラム)」は7%程度にとどまることがわかった。さらに、「学校教育で性および生殖に関する健康について十分な知識が提供され、自分で適切な判断ができるようにしてくれた」という設問については、「全くそう思わない(19%)」「あまりそう思わない(34%)」と回答した日本の女性は全体の半数を超えていた。

「健康上の懸念がある場合、最初に相談するのは誰ですか。または、何から情報を得ようとしますか」と設問では、「医療従事者/かかりつけ医/産婦人科医(32.9%)」「インターネット(医療情報サイトなど)(26.2%)」が上位だった。

また、子宮頸がんの検診受診意向を尋ねたところ、日本女性の34%が「子宮頸がんの検診を受けたことはなく、予約するつもりもない」と回答した。これまでに子宮頸がんの検査を受けたことがないと回答した女性(129人)にその理由を尋ねたところ、「恥ずかしい」「痛みを伴うことが不安」が上位だった。

HPVワクチンとHPV検査に関して混同している可能性、正しい知識の普及啓発を

今回の調査結果について、子宮頸がんを考える市民の会理事長で自治医科大学名誉教授の今野 良先生は次のように述べている。「子宮頸がんの検診を受けたことがあると回答した日本の女性は6割を上回るものの(6割という数字は高い傾向にあり、回答バイアスが生じている可能性がある)、子宮頸がん検診に関して「知識が豊富だと思う(3%)」「ある程度の知識があると思う(23%)」と回答した割合は全体の3割未満だった。このことから、正しい知識とともに自信を持って子宮頸がん検診を受けている女性は依然として少数であると推察された。子宮頸がんは原因がウイルスであることが証明されており、HPVワクチンと検診によって予防できるがんである。2024年度から、がん検診に高感度なHPV検査単独法が導入され、HPV検査陰性(精検不要)と診断された30代から60代の方の受診間隔が5年となり、検診を受ける負担が減った。このHPV検査について「聞いたことがある」と回答した人の割合はあわせて4割以上の結果だったが、検診自体に関する知識が「あまりない」「全くない」と回答した女性は7割以上であることから、HPVワクチンとHPV検査に関して混同している可能性も考えられる。子宮頸がんはすべての女性が罹患する可能性があり、若い年代から正しい知識と検診習慣を身につけ、予防に努めてほしい。学校教育においては、2016年からがん対策基本法の下、「子宮頸がんはHPV感染が原因である」ことがカリキュラムに反映され、教えられている。今回の調査対象になった大人にも、さらなる教育・啓発が必要だ。多くの女性が正しい知識とともにHPVワクチンとHPV検査による子宮頸がん検診を受け、命を守り、健康な生活を送れることを望む」。

 

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