医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 海外 > 若者のうつ患者、ソーシャルメディアの使い方に問題があると症状の重症度が高い?

若者のうつ患者、ソーシャルメディアの使い方に問題があると症状の重症度が高い?

読了時間:約 2分44秒
2025年04月10日 PM12:45

ソーシャルメディアは若者のうつ病の症状を重くする?

周囲に、InstagramやTikTokなどに感情的に依存しているかのように、ソーシャルメディアのスクロールを止められない人はいないだろうか。このようなソーシャルメディアの依存的な使用は、うつ病や不安、自殺念慮に対するケアを受けている若者のメンタルヘルス症状の悪化と関係している可能性のあることが、新たな研究で明らかにされた。メンタルヘルス問題でケアを受けている若者のうち、ソーシャルメディアの使い方に問題のある人では、使い方に問題がない人と比べて、うつ病の症状や不安、自殺念慮の重症度が高いことが示されたという。米テキサス大学サウスウェスタン医療センターのBetsy Kennard氏らによるこの研究結果は、「Journal of Affective Disorders」4月1日号に掲載された。


画像提供HealthDay

Kennard氏は、「これまで長い間、若者のソーシャルメディアの過度の使用が自殺念慮や自殺行動の増加の要因になっているのではないかと疑われてきた。しかし現時点では、両者の関係性は、完全には解明されていない」と話す。

この研究は、米テキサス州青少年うつ病・自殺リサーチネットワーク(TX-YDSRN)レジストリに登録されている489人の患者を対象にしたもの。これらの患者は、年齢が8歳から20歳で、州内の12カ所の大学病院でうつ病、、自殺行動に対するケアを受けていた。Kennard氏らは、これらの患者の中で、ソーシャルメディアの使い方に問題がある者がどの程度いるのかを調べ、さまざまな尺度で評価したメンタルヘルスおよび身体的健康の指標について、ソーシャルメディアの使い方に問題がない患者と比較した。「ソーシャルメディアの使い方に問題がある」の定義は、「ソーシャルメディアにログインしていないと友人とのつながりが断たれているように感じる」「ソーシャルメディアを使えないとがっかりする」「ソーシャルメディアにログインできないと腹が立つ」という設問に対する評価(0〜6点)で、4点以上の回答が2つ以上あった場合とした。

調査の結果、対象患者の40.3%が、ソーシャルメディアの使い方に問題のあることが明らかになった。これらの患者では、使い方に問題のない患者と比べて、スクリーンタイムも長い傾向が認められた。また、ソーシャルメディアの使い方に問題がある患者では、問題のない患者に比べて、うつ病の症状、不安、自殺念慮を有する頻度とその重症度が高く、身体機能、レジリエンス、痛みの干渉や重症度などの心身のウェルネスの指標も低い傾向にあった。

Kennard氏は、「この研究結果は、、自殺念慮、自殺行動に対するケアを受けている子どもや若者の間で問題のあるソーシャルメディアの使い方がどれほど広まっているかを明らかにしており、ソーシャルメディアの使用とメンタルヘルスとの関係を考える上で、有益な手がかりとなる」との見方を示す。同氏はさらに、「ソーシャルメディアの使用がどの程度までなら適切なのかは人によって異なり、『万人に当てはまる』適切な時間や頻度など存在しない。ただし、問題のあるソーシャルメディアの使い方をしている人の特徴は、依存症の人で見られる特徴と似ていることが多い。例えば、やめたいと思っていても使用をやめられない状態、使いたいという強い欲求、日常生活や活動への支障、隠れた使用、対人関係の問題などだ」と語る。

研究グループは、ソーシャルメディアの問題のある使い方がなぜ若者にこのような悪影響を及ぼすのかを正確に理解するには、さらなる研究が必要だとしている。Kennard氏は、「われわれは、この研究結果と今後の研究データを活用して、ソーシャルメディアの問題のある使い方に早期に対処するためのより優れたスクリーニング方法を開発したいと考えている」と述べている。(HealthDay News 2025年3月28日)

▼外部リンク
Problematic social media use and relationship to mental health characteristics in youth from the Texas Youth Depression and Suicide Research Network (TX-YDSRN)

HealthDay
Copyright c 2025 HealthDay. All rights reserved.
※掲載記事の無断転用を禁じます。
Photo Credit: Adobe Stock
 

同じカテゴリーの記事 海外

  • AIによるプライマリケアサービス「バーチャル救急診療」、医師診療との一致度は?
  • 帯状疱疹ワクチン接種者で認知症の発症リスクが20%低下-英ウェールズの高齢者を追跡
  • 若者のうつ患者、ソーシャルメディアの使い方に問題があると症状の重症度が高い?
  • 認知症の初期症状、自宅で実施可能な嗅覚テストで検出可能に?-米研究
  • 健康管理に「1日の心拍数を歩数で割った値」が有用?
  • あなたは医療関係者ですか?

    いいえはい