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【日病薬】病棟業務立ち上げなど成果-向上加算、出向先に初調査

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2025年04月09日 PM12:41

日本病院薬剤師会は、基幹病院から地域病院に薬剤師出向した場合、算定が可能となる「」の出向先施設を対象とした初の調査を実施した。その結果、出向先施設は「病棟薬剤業務実施加算1の算定再開」や「病棟業務の立ち上げ」など、薬剤師出向を通じて病棟業務が行えている成果が確認された。

同加算算定施設から薬剤師の出向を受けた14施設の薬剤部長が回答した。算定している薬剤師に関連する診療報酬算定項目を見ると「薬剤管理指導料」は10施設、病棟薬剤業務実施加算は5施設あった。

出向受け入れ期間は「3カ月」が5施設と最も多く、出向期間は「適切であった」が6施設、「短かった」が8施設だった。出向者の給与の負担元は「出向元」が1施設、「出向先」が10施設となった。

出向者の業務内容と成果を聞いたところ、「病棟薬剤業務実施加算1の算定再開」「病棟業務の立ち上げ、業務マニュアルの策定」「人員不足でできなかった病棟業務の再開」「、訪問服薬指導業務、鑑査業務」などが目立った。

そのほか「疑義照会簡素化マニュアル」「院外処方箋における事前合意に基づく処方変更に関するプロトコル」など、出向先で薬剤師業務を整備した薬剤師もいた。

薬剤部全体の業務向上への貢献では「薬剤師間のコミュニケーションが改善され、薬剤師間のタスクシェアが進んだことにより残業時間が軽減した。今後病棟薬剤業務実施加算取得などが期待できる」「病棟業務の実施」「病棟業務の拡大」など、手薄だった病棟業務の実施・拡大が成果として挙げられた。

他職種からの評価について複数回答で聞くと、医師は「薬物治療の質が向上した」が5施設、「医薬品に関する業務の負担が軽減した」が4施設あった。看護師の評価では「医薬品に関する業務の負担が軽減した」が5施設、「薬物治療の質が向上した」が4施設あった。

しかし、「特段の評価はない」と回答した医師は5施設、看護師は6施設とそれぞれ最も多く、同加算のメリットを発信していく必要性も浮かび上がった。

武田泰生会長は2日の定例会見で「調剤など対物業務に費やされると思ったが、病棟業務や服薬指導が充実したというコメントを見ると、われわれが期待したことをやっていただいた」とコメント。「出向期間は半年から1年間が多いと思った。期間を長くすることでいろんなものを学んでもらうと同時に、出向薬剤師が持っているものを置いてもらうにはそれくらいの期間が必要ではないか」と長期出向を要請した。

また、2026年度診療報酬改定の議論に向けては、「出向した薬剤師が出向元施設に戻った後の出向先・出向元施設の業務の質向上がポイントになる」とし、「日病薬の特別委員会でアウトカム評価を考えてもらっている。ハードルを高くしても出向元・出向先施設が大変だし、ハードルを低くしてもいけない」と語った。

 

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