1,074例を対象に一次治療でオシメルチニブと比較
ジョンソン・エンド・ジョンソンは2025年3月26日、2025年欧州肺癌学会(ELCC 2025、3月26~29日)の期間中にメディア向け説明会を開催。ELCC 2025で発表されたEGFR遺伝子変異を有する局所進行性または転移性の非小細胞肺がん(NSCLC)患者の一次治療として、上皮成長因子受容体(EGFR)および間葉上皮転換(MET)を標的とする二重特異性抗体アミバンタマブと経口第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)ラゼルチニブとの併用療法をオシメルチニブ単剤と比較した第Ⅲ相試験MARIPOSAにおける全生存期間(OS)の最終解析結果について、スペイン・Vall d’Hebron University Hospital/Vall d’Hebron Institute of OncologyのEnriqueta Felip氏が報告した。
同試験では、EGFR遺伝子エクソン19欠失変異(ex19del)/L858R置換変異を有する局所進行/転移性NSCLC患者1,074例を対象に、一次治療において、アミバンタマブとラゼルチニブとの併用療法(アミバンタマブ併用群)と、オシメルチニブ(オシメルチニブ群)またはラゼルチニブ(ラゼルチニブ群)の単剤療法とに2(429例):2(429例):1(216例)に割り付けて比較した。
主要評価項目は、盲検下独立中央判定(BICR)により評価した無増悪生存期間(PFS、RECIST v1.1ガイドラインに基づく)、副次評価項目としてOS、全奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)、頭蓋内PFS、最初の治療開始から後続治療後の病勢進行または死亡までの期間(PFS2)、症状増悪までの期間などを評価することとし、これまでに主要評価項目を達成したことを報告している1)。
OSの最終解析の全生存率は42か月時で56%
今回は、副次評価項目であるプロトコル上規定されたOSの最終解析結果に関する報告が行われた。
解析の結果、観察期間の中央値37.8か月におけるOSは、オシメルチニブ群の36.7か月(95%CI 33.4~41.0か月)に対し、アミバンタマブ併用群では未到達(NR)(同42.9か月~NR)で、ハザード比(HR)0.75(95%CI 0.61~0.92、P<0.005)と有意に延長していた。36か月時の全生存率はそれぞれ51%、60%、42か月時では44%、56%だった。OSにおけるアミバンタマブ併用群の良好な結果は、年齢層別や性別、人種別などで行ったサブグループ解析でも概ね得られていた。
後治療は、アミバンタマブ併用群の74%、オシメルチニブ群の76%が受けており、いずれも半数以上が化学療法ベースの治療だった。
ベースライン時に脳転移が認められていた患者群における頭蓋内PFSは、中央値でオシメルチニブ群22.2か月(95%CI 18.4~26.9か月)、アミバンタマブ併用群25.4か月(同20.1~29.5か月)で、有意差は認められなかったが(HR 0.79、95%CI 0.61~1.02、P=0.07)、3年時の頭蓋内PFSはそれぞれ18%、36%と改善傾向にあった。頭蓋内DoRについても、中央値はオシメルチニブ群29.6か月(95%CI 23.9~34.1か月)、アミバンタマブ併用群35.7か月(同25.8か月~NR)と改善傾向が認められていた。
症状増悪までの期間の中央値は、オシメルチニブ群29.3か月(95%CI 26.4~33.4か月)、アミバンタマブ併用群43.6か月(同36.0か月~NR)、HR 0.69(95%CI 0.57~0.83)と有意に延長していた(P<0.001)。
安全性プロファイルは主解析と一致し、有害事象の発現は投与初期に多い
安全性プロファイルは、主解析と概ね一致していた。アミバンタマブ併用群における主要な有害事象発現の特徴として、多くの有害事象が投与開始4か月間に発現したものの、その後は低減し、新規の安全性に関する懸念が認められた例は少なかったことから、アミバンタマブ併用による長期治療の実現可能性が示唆された。
Felip氏は、「転移性NSCLC患者の一次治療としてアミバンタマブとラゼルチニブとの併用療法を行うことで、治療開始3年時でも60%が生存していた。また、アミバンタマブ併用群では頭蓋内PFSも良好で、有害事象の発現は投与初期以降、低減が認められた」と述べた。
なお、アミバンタマブは国内において、化学療法(カルボプラチンおよびペメトレキセド)との併用療法について、EGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の切除不能な進行・再発のNSCLCで承認を取得し、2024年11月に発売されている。