治療を受けた患者/受けていないが検討した患者が対象
アストラゼネカ株式会社は3月25日、診断から5年未満かつ手術を受けていないステージ3の非小細胞肺がん患者のうち、初回治療で化学放射線療法を受けた人(39人)、受けていないが検討したことがある人(23人)計62人を対象に、治療前後に抱く不安や心情についてインターネット調査を2024年12月に実施し、化学放射線療法を受けた後でも再発に対する不安を感じる患者が8割を超えることがわかったと発表した。

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肺がんは日本人の部位別のがん死亡数がもっとも多いがんであり、ステージ3の5年生存率は28.6%である。ステージ3の肺がんは根治を目指した治療となり、一部(ステージ3A)は切除手術が行われるが、切除手術ができない場合は化学放射線療法が標準治療となる。同社は今回、初回治療として化学放射線療法を受けた、あるいは受けていないが検討したことがある非小細胞肺がん患者の治療前後に抱く不安や心情を把握することを目的に調査を実施した。
治療決定の際に参考とした情報源は「医師からの説明」が96.8%
化学放射線療法を組み合わせた治療を受けるかどうかを決める際に参考とした情報源について尋ねたところ(n=62)、「医師からの説明」が96.8%と大半を占め、次いで「自身の収集した情報(書籍、インターネットなど)」11.3%だった。
また、化学放射線療法を受ける決め手となった理由について尋ねたところ(n=39)、多岐にわたり、「医師の勧め」のほか、「治療効果への期待」「手術の難しさ」「選択肢の制約」などが挙げられた。
「治療を受けた後も後悔をすることはなかった」89.7%
化学放射線療法を受けた感想を尋ねたところ(n=39)、「つらく感じた」と回答した患者が41%(「ややつらく感じた」25.6%/「つらく感じた」15.4%の合計)だった。一方、化学放射線療法を受けたことに対する心境も尋ねたところ(n=39)、「受けるべき治療だと思っており、治療を受けた後も後悔をすることはなかった」という回答が89.7%に上った。さらに、化学放射線療法による治療を受けた後の再発に対する気持ちについて質問したところ(n=39)、84.6%の患者が不安を感じていたことが示された。
治療後に不安を感じた患者の24.2%が、再発に対する不安を変わらずに持ち続けていた
不安を示した患者(n=33)のうち24.2%が「治療直後から再発に対する不安を感じており、時間とともに和らぐことはなかった」と回答し、再発に対する不安を感じた患者の4人に1人は、化学放射線療法による治療後も不安を変わらずに持ち続けていたことがわかった。
不安が続く人もいることを医療者が理解し、患者に寄り添って治療方針の決定を
今回の結果について、同調査を監修した神奈川県立がんセンター呼吸器内科の加藤晃史氏は次のように述べている。「化学放射線療法は根治を目指す治療であるが、中には根治に至らない患者もおられる。化学放射線療法による治療後も多くの患者が再発に対して不安を抱いていること、中にはその不安が継続する方もいることを医療者が理解し、患者に寄り添って治療方針を決めることが大切だ」。
また、同じく監修者の1人である、静岡県立静岡がんセンター放射線治療科部長の原田英幸氏は、「患者が治療前に、副作用を含めた治療の内容や治療の必要性を理解することが、後悔のない治療の選択につながることが示唆された」と述べた。さらに、もう1人の監修者であるNPO法人肺がん患者の会ワンステップの理事長 長谷川一男氏は「患者が根治を目指して、継続的に積極的な治療を受ける、やれることは悔いなくやりたいと感じていることが示唆された」と述べた。
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