メタボでない中高年女性794人対象、日常生活の歩数・強度別の歩行時間を調査
愛媛大学は3月14日、潜在プロファイル分析を用いて、中高年女性の日常生活における歩行活動パターンを特定し、それらのパターンとメタボリックシンドローム発生リスクとの関連を検討した結果を発表した。この研究は、同大社会共創学部の山本直史准教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Environmental Health and Preventive Medicine」電子版に掲載されている。

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これまでに研究グループは、歩行に関する指標(歩数、歩行時間、歩行の強度など)とメタボリックシンドローム発生との関連を明らかにしてきた。一方、日常生活環境下においては、それらの歩行指標は相互に関連し合う。そこで今回の研究では、これらの相互関係を考慮し、研究を進めた。
今回の研究では、調査開始時点でメタボリックシンドロームでなかった中高年女性794人を対象に、1軸加速度計を用いて日常生活の歩数および強度別の歩行時間を調査した。潜在プロファイル分析を用いて、中高年女性の日常生活における歩行活動パターンを特定し、それらのパターンとメタボリックシンドローム発生リスクとの関連をコホート研究のデザインで検討した。
中高/低強度歩行で1日1万歩、5年間のメタボ発生リスク低下が同程度
研究の結果、日常生活における歩行活動パターンは4つのパターンに分類された。そのうち、「主に中高強度の歩行時間を蓄積することで1日1万歩程度の歩数に達するパターン(パターンB)」と「主に低強度の歩行時間を蓄積することで1日1万歩程度の歩数に達するパターン(パターンC)」は、「低水準の歩行活動(パターンA)」と比較して、5年間の追跡期間中のメタボリックシンドローム発生のリスクが同程度低下する可能性が示された。
日常生活の中で無理なく歩数蓄積の重要性を示唆
この結果は、歩行の強度に関わらず一定水準の歩数を蓄積すること、すなわち「あらゆる歩数が健康に寄与する」という考えを支持し、歩数に基づいた身体活動推奨の有用性を示唆するものである。「従来、一定強度以上の身体活動が推奨されることが多い一方で、本研究の結果は、日常生活の中で無理なく歩数を蓄積することの重要性を示唆している」と、研究グループは述べている。
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