石破茂首相は19日の参議院予算委員会で、OTC類似薬を保険適用から除外した場合の患者負担について「処方された医薬品より割高になる可能性はあるので、その点が患者負担にどれほど響くかさらなる議論が必要」との考えを示した。猪瀬直樹議員(日本維新の会)の質疑に対する答弁。
今国会で審議予定の医薬品医療機器等法改正案では、処方箋なしでの医療用医薬品の販売(零売)は原則禁止としている。これに対して猪瀬氏は、「零売薬局の営業制限強化を法制化することは、セルフメディケーションに明らかに逆行する」と批判した。
これに対して、福岡資麿厚生労働相は「一部で不適切な運用が行われている実態から、あくまでもこれまでの運用を明確化するもので、規制強化では全くない」と説明。「法令に基づき適正な情報提供や数量に基づく販売を行うもので、零売のみを厳しく制限するものではない」と反論した。
維新の会が示した社会保険料を引き下げる改革案の方策では、OTC類似薬の保険適用除外やOTC化を求めているが、日本医師会は反対姿勢を示している。猪瀬氏は、薬機法改正案の零売に関する内容と絡めて「医師会という圧力団体の存在があるのではないか」と指摘した。
石破氏は「いかにして医療費の過度な増加を防ぐかと、どう患者に適切な医薬品を提供できるかの両立で議論したいと考えており、特定の団体の影響によって政策を歪めたのではないと確信している」と否定した。
その上で、OTC類似薬の保険適用を除外した場合の患者負担のあり方について「最も大事なのは、患者が適正な情報をもとに適正価格で医薬品を購入できることだ。患者負担がどうなるかはさらなる議論が必要で、病院で処方箋をもとに入手できる医薬品より割高になる可能性はあるので、その点が患者負担にどれだけ響くかさらなる議論が求められる」と述べた。