■銚子市長は「歓迎」表明
今回の発表は両学園の協議がまとまった結果としている。同大の設置者変更について、加計学園は大城学園に変更するための認可申請書を所轄庁に提出する方針としている。申請に当たって、▽大学名称▽大学の目的・教育方針・教育目標▽学部・学科構成▽入学定員・収容定員▽教職員の雇用・雇用条件▽学納金や奨学生への対応等――は変更しない計画とし、認可された場合、在学生や教職員は従来通りの教育・研究を継続できる見通しと説明している。
譲渡先の大城学園は、沖縄県内で高校と幼稚園の計2施設を運営している学校法人だが、変更申請が認可された場合、大学の運営は初となる。
今回の事業譲渡に当たり、両学園は「千葉科学大を応援して下さっている皆さんと共に、地域貢献に尽くしていけるものと確信している」としつつ「所轄庁から認可が得られるまでは手続きに専念しなければならず、質問への対応は控える」と述べるにとどめた。
同大の経営状況の悪化を受け、公立化に向けた協議を行ってきた銚子市は17日、市長のコメントを公表し、「私立大のまま大学が継続されることは検討委員会答申と市の要望に適うもので、両学園の努力に感謝し、設置者の円滑な移行と今後の大学運営に協力していく。少子化による厳しい経営環境は続くが、官学連携によるまちづくりを進めていく」と設置者変更を歓迎した。
同大をめぐっては、有識者で構成される公立大学法人化検討委員会が昨年8月に答申を公表。その中では市の財政負担増を懸念し、加計学園の経営努力により私立大として運営を継続することが第一とし、困難な場合は他の学校法人に事業譲渡することが第二の選択肢、私立大としての存続が難しい場合は薬学部の廃止など、一定条件を満たせば公立化が可能としていた。
既に同大は1月、薬学部を含め現行の3学部体制を維持して私立大として運営継続する基本方針を示すと共に、事業譲渡や公立化の選択肢を残す考えを公表していた。
今回、加計学園は設置者変更という2番目の選択肢を取る結果となった。しかし、教育・研究の質向上など大学改革に取り組む方針を示しているものの、大城学園の大学運営に関する手腕は未知数だ。現時点では学部・学科構成や入学定員・収容定員等の変更はないとしているが、薬剤師養成という大きな社会的要請に応える薬学部の運営をどう行っていくのか。今後の対応を注視していく必要がありそうだ。