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小児腎臓のネフロン数、世界初の生体での推算に成功-順大ほか

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2025年03月12日 AM09:20

小児ネフロン数把握、従来は剖検解析が必要

順天堂大学は3月4日、生体内における小児のネフロン(腎臓の機能単位)数を推算することに世界で初めて成功したと発表した。この研究は、同大医学部小児科学講座の遠藤周准教授、西﨑直人先任准教授、東京慈恵会医科大学小児科学講座の坂口晴英助教、平野大志講師、腎臓・高血圧内科、および東京都立小児総合医療センター血液・腫瘍科の湯坐有希部長らの研究グループによるもの。研究成果は、「Kidney International Reports」に掲載されている。

腎臓の機能単位であるネフロンの数には個体差が存在することが知られている。ネフロンは胎生期に形成され、出生後は新生されないため、出生時点でのネフロン数が生涯の腎機能を規定する重要な因子となる。これまで小児のネフロン数を知るためには剖検による解析が必要だった。

腎腫瘍組織の病理学的解析+造影CT画像解析により21人を推算

今回の研究では、腎腫瘍症例における摘出腎組織の病理学的解析と造影CT画像解析を組み合わせることで、生体におけるネフロン数の推算を試みた。今回の推算を行った対象症例は21人(年齢中央値2.5歳)だった。

既報の成人ネフロン数と比較で、ネフロン数と年齢・体格との間に正の相関

対象者21人の解析を行った結果、片側腎臓あたりのネフロン数の推算は約92万5,000個/腎という結果だった。既報の成人におけるネフロン数のデータと比較したところ、ネフロン数と年齢および体格(体表面積)との間に正の相関を確認できた。これは、既報の成人におけるネフロン数(約67万~71万個/腎)と比較し有意に高値を示している。

腎疾患発症リスクの層別化などに期待

研究成果により、小児期における生体内のネフロン数の定量的評価が可能となり、腎疾患発症リスクの層別化、個別化医療の実現に向けた治療戦略の最適化、腎発達に関する新規知見の集積などの臨床応用が期待される。今後は、さまざまな腎疾患症例における検討を進め、ネフロン数と腎疾患進行との関連性についてさらなる研究を展開する予定、と研究グループは述べている。

 

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