64~65歳男女2,865人対象、共食人数と食事摂取量の関連を調査
大阪公立大学は2月27日、64~65歳の男女2,865人において、一緒に食事する人数(共食人数)と食事摂取量の関係を調査した結果を発表した。この研究は、同大大学院生活科学研究科の渡辺(皆川)祐希研究生、鵜川重和教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Nutrients」にオンライン掲載されている。

大学生など若い年齢層において、一緒に食事をする人数(共食人数)が増えると、食事摂取量も増えることが報告されている。しかし、高齢者を対象とした研究は少なく、喫煙や運動など生活習慣の影響も十分に考慮されていなかった。また、共食人数が増えることで、食品の種類ごとの量がどのように変化するのか明らかではなかった。
そこで今回の研究では、愛知県日進市在住の64~65歳の男女7,004人に調査を依頼し、共食人数と食事摂取量の関連を調べた。そのうち、条件を満たす2,865人のデータを解析した。
栄養素摂取量は共食2人以上で多い/人数増で食事摂取量増を示唆
その結果、エネルギーや、栄養素(タンパク質、脂質、炭水化物)の摂取量は、共食人数0人の時と比較して、共食人数2人以上の時に有意に多いことがわかった。さらに、食品の種類ごとに解析したところ、共食人数が2人以上の人は、米類や肉類、油脂類、野菜類、果物類、きのこ類を多く摂取していることが明らかになった。これらの結果から、共食人数が増えることで、多種類の食品摂取が促され、食事摂取量が増えることが示唆された。
食事の社会的促進が関係の可能性
今回の研究では、地域在住高齢者において、2人以上の人と一緒に食事をすることが低栄養を防ぐのに役立つ可能性があることを示した。共食人数が増えると食事摂取量が増える理由として、他の人と一緒に食べることで食事のスピードが速くなったり、食事にかける時間が長くなったりする「食事の社会的促進(他の人がいることで行動が変わること)」が関係していると考えられる。今後、メカニズムについて、さらに詳しく調べる必要がある、と研究グループは述べている。
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・大阪公立大学 プレスリリース