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大腸がんとヨーグルト摂取の関係を探る研究で新知見、長期間の摂取でリスクは低下?

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2025年02月25日 PM04:00

長年にわたるヨーグルト摂取は大腸がんリスクを低下させる?

長年にわたるヨーグルトの摂取は、特定のタイプの大腸がんの発症リスクを低下させる可能性のあることが、米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院および米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院の鵜飼知嵩氏らによる研究で明らかになった。長年にわたりヨーグルトを週に2回以上摂取している人では、腫瘍組織内にビフィズス菌が検出されるビフィズス菌陽性の大腸がんの発症リスクが20%低いことが示されたという。この研究結果は、「Gut Microbes」に2月12日掲載された。

人体のマイクロバイオーム(微生物叢)に焦点を当てた新たな研究では、ヨーグルトに含まれる生きた細菌の摂取が健康に有益な可能性のあることが示唆されている。鵜飼氏らは今回、ヨーグルトには一般的にビフィズス菌が含まれていることから、長期間のヨーグルト摂取が、組織中のビフィズス菌の量に応じて、腫瘍のタイプごとに大腸がんの発生と異なる関連を示す可能性があるとの仮説を立て、検討した。対象は、1976年に30〜55歳の女性看護師を登録して開始されたNurses’ Health Study(NHS)と1986年に40〜75歳の男性医療従事者を登録して開始されたHealth Professionals Follow-up Study(HPFS)から抽出した13万2,056人であった。対象者は、2016年1月1日まで追跡された。

こうした研究背景について、論文の共同責任著者の1人であるハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院およびブリガム・アンド・ウイメンズ病院の荻野周史氏は、「われわれは、長期にわたる食生活やその他の要因が人体の組織に与える影響、例えば、特定の細菌種の有無により組織にもたらされる影響に違いがあるのかなどを調べている。このような探索的なアプローチにより、食事と健康アウトカムとの関連を示すエビデンスの信頼性を高めることができる」と述べている。

追跡期間中に3,079人が大腸がんを発症していた。このうち、腫瘍組織中のビフィズス菌量についての情報が完備したのは1,121人で、うち346人(31%)はビフィズス菌陽性、775人(69%)はビフィズス菌陰性だった。解析の結果、大腸がんのリスクとヨーグルトの摂取量との間に統計学的に有意な関連は認められなかったものの、週に2回以上ヨーグルトを摂取する人では、1カ月の摂取頻度が1回未満の人に比べてビフィズス菌陽性の大腸がんリスクが20%低下する可能性が示唆された(調整ハザード比0.80、95%信頼区間0.50〜1.28)。一方、ビフィズス菌陰性の大腸がんリスクについては、明確な低下は認められなかった(同1.09、0.81〜1.46)。このようながんのタイプによる関連の違いは、近位大腸がん(盲腸、上行結腸、横行結腸)においても確認された。過去の研究では、右側に発生する近位大腸がんでは、左側に発生するがんより予後が悪いことが示唆されている。

荻野氏は、「われわれの研究は、ヨーグルトが特定のがんに対して潜在的に有益な可能性を示す独自のエビデンスを提供している」と述べている。また、鵜飼氏は、「ヨーグルトやその他の発酵乳製品は、長い間、胃腸の健康に有益だと考えられてきた。本研究結果は、この予防効果がビフィズス菌陽性大腸がんに特有のものである可能性を示唆している」との見方を示している。(HealthDay News 2025年2月13日)

▼外部リンク
Long-term yogurt intake and colorectal cancer incidence subclassified by Bifidobacterium abundance in tumor

HealthDay
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