新人看護師のモデリング確認、具体的なツールはなかった
大阪公立大学は2月3日、全国の新人看護師にモデリングに関するアンケート調査を行い、337人の回答を分析した結果から、確認ツール「新人看護師のモデリング尺度」を作成したと発表した。この研究は、同大大阪公立大学大学院看護学研究科の長野弥生講師らの研究グループによるもの。研究成果は、「BMC Nursing」に掲載されている。

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病院で働き始めて1年目の新人看護師は、教育機関で学んだ知識と現場で求められる実践スキルのギャップに直面し、不安や戸惑いを感じることが多くある。特に、忙しい医療現場では十分な指導が受けられない場合もあり、新人看護師が自ら能動的に学ぶことも必要である。その際、経験豊富な先輩看護師を観察し、行動や技術を真似て学ぶモデリングが重要な学習方法となる。これまで、モデルとなる看護師(ロールモデル)の研究は多くあったが、学習者である新人看護師に焦点を当て、どのようにモデリングをしているのかを確認する具体的なツールはなかった。
21の質問から成る「新人看護師のモデリング尺度」、どの配属先でも活用可能
今回の研究では、全国の新人看護師を対象にアンケート調査を実施、337人から得た回答を分析し、21の質問項目で構成された「新人看護師のモデリング尺度」という確認ツールを作成した。新人看護師が、どのように先輩を観察して行動や技術を真似ているかを確認することができる。このツールは新人看護師へのインタビューや文献検討をもとに作成したため、医療現場での学びが反映されている。また、項目分析および因子分析により信頼性と妥当性を確認した。特定の診療科に限定せず、どの配属先でも活用できる内容となっているため、汎用性が高く実際の現場で使いやすいツールであると考えられる。
新人看護師の離職率の低減などに期待
同ツールの活用により、新人看護師のストレスや不安の軽減、離職率の低減、患者へのケアの質や安全性の向上につながることが期待される。新人看護師のスムーズな業務習得を支えるだけでなく、看護以外の職場でも応用できる可能性がある。指導者が新規採用者へ丁寧なサポートを行うためには、新規採用者が職場で何を観察しているのか、観察した内容をどのように自分のスキルや知識として習得していくのか、そのプロセスを把握することが重要だとしている。このプロセスを正しく理解することで、個々人が直面する課題や学び方の特徴に合わせた適切な指導や支援が可能となる。その結果、職場全体での人材育成をより効果的に進めることができると考える、と研究グループは述べている。
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・大阪公立大学 プレスリリース