調剤報酬等の請求方法について「個別指導」を実施した保険薬局は427件、薬剤師は661人、「新規個別指導」を行った保険薬局は2350件、薬剤師は3772人、「集団的個別指導」を行った保険薬局は3372件だった。また、届出された施設基準の充足状況を確認する「適時調査」を行った保険薬局は5件、「監査」を行った保険薬局は2件、薬剤師は12人だった。
前年度と同様、保険指定取消処分となった保険薬局はなかったものの、本来は指定取消処分を行うべき事案のうち、既に対象医療機関等が廃止されて行政処分を行えない施設を対象とした指定取消相当処分は、三重県の「おだいじに薬局」(23年6月16日付)の1件だった。地方厚生局が同薬局に返還を求めた金額は「精査中」としている。
詳細を見ると、情報提供を受けた東海北陸厚生局三重事務所が個別指導と監査を行ったところ、調剤基本料1の施設基準(処方箋集中率95%を超え、処方箋の受付回数が1カ月に1800回を超えない)に適合していないため、同基本料2で届け出るべきところ、処方箋の受付回数を操作し、同基本料1の施設基準に適合しているとして虚偽の届出を行い、調剤報酬を不正に請求していたことを確認。
地域支援体制加算の施設基準(同基本料1以外を算定する保険薬局)に適合していないにも関わらず、同基本料1を算定する保険薬局の区分で虚偽の届出を行い、調剤報酬を不正に請求していたほか、不正請求分に関する一部負担金を受領していた。不正請求金額は、監査で使用した20年3月分から2年間分のレセプトで、452万2648円。薬局は23年2月25日付で廃止しており、取消相当の扱いとなった。
監査は医科、歯科と合わせると46施設、88人に実施し、指定取消相当を含めて21施設の指定と14人の登録を取り消した。
医療機関からの返還金額は、46億2338万円で、前年度から26億5000万円増加した。適時調査による返還分が前年度から24億円増加したことが大きな要因とし、大規模病院で適時調査を行った結果、入院基本料で施設基準を満たさず、過去に遡って返還を求めた事例などがあったとしている。
内訳は、医科が43億4607万円、歯科が1億7740万円、薬局が9990万円。