■銚子市は回答待ち強調
千葉科学大学(銚子市)は22日、6年制薬学部薬学科を含む現行の3学部体制を維持した私立大として運営継続する基本方針を示した。公立化の一条件として薬学部の廃止が求められていたが、定員やカリキュラムの変更予定はなく、教育・研究の質向上など大学改革に取り組む。一方、事業譲渡や公立化の選択肢を残す考えも示しており、私立大としての継続を求める市側は「基本方針は2025年度のもので、26年度以降の方針を明示したものではない」とし、将来的な運営方針について引き続き大学側からの回答を待つ姿勢だ。
同日、藤本一雄副学長が現学長の残任期間である3月31日から1年間の任期で学長に就任することを公表した。その上で、「18歳人口の減少など厳しい環境にあるが、私立大として3学部体制を維持する。新学長を中心とする新体制のもと、教育・研究の質向上や地域連携活動の充実など大学改革に取り組んでいく」との考えを示した。
同大をめぐっては、志願者数・入学者数の減少による経営状況の悪化を受け、2024年夏に有識者による「千葉科学大公立大学法人化検討委員会」が議論を重ねた上で、同8月に答申をまとめている。
具体的には、市の財政負担増を懸念し、経営努力で引き続き私立大として運営し、困難な場合は他の学校法人に事業譲渡することなどが望ましいと記載。それでも、大学と市の間で私立大としての存続が難しいと確認した場合は、看護学部看護学科と危機管理学部危機管理学科の2学部2学科の新体制とするなどの条件を満たした場合に公立化が可能とした。
大学側は本紙の取材に対し、「大学の再生に向け、私立大として経営していく基本方針を確認した。ただ、事業譲渡や公立化など様々な選択肢は残しておく」と説明し、改革の方向性や内容は決まり次第公表するとしている。
検討委員会の答申では、薬学部について薬剤師国家試験合格率の低さが指摘されたり、大学の負担割合の高さや収支バランスの保ちにくさなども懸念されていた。
こうした中で、薬学部の存続を決めた背景に関して同大は回答を控えたが、100人とする現行の定員数やカリキュラムの変更予定もないと説明。「25年度入試でも、例年と同様に学生を募集している」とした。
安東賢太郎薬学部長は、「大学として3学部体制の継続を一貫して希望してきた。国試合格率の改善に向け、学生のサポートを継続したい」とコメントした。
一方、答申取りまとめ後、市は大学側に私立大としての存続を希望する回答書を送付しているが、大学側は2024年9月に「大学の要望とは大きな隔たりがあり、回答はもう少し待ってほしい」と求めていた。
市側は、藤本氏の学長としての任期が25年度の1年間である点に触れ、「大学は既に25年度は3学部で学生募集を行うことを市に説明している。今回はあくまでも学長交代に関する公表であり、学長としての意気込みを述べたもの」とし、26年度以降の方針を明示したものではないとの見解を示した。
また、今回の公表に関して大学側から特段の説明がなかったことも明かし、「答申内容に沿って検討が進められると思うが、引き続き大学側からの回答を待ちたい」とした。