日本薬剤師会の岩月進会長は22日の定例会見で、厚生科学審議会部会の医薬品医療機器等法改正に関する取りまとめに対し、製造販売業者に安定供給確保の体制整備に関する責任を課すなど規制強化の方向性を高く評価した。現在も医薬品の供給不安が続く中、「(法律に企業の)製造責任や品質責任を言っていただいたことは評価している」と述べた。
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岩月氏は、部会の取りまとめについて「製造責任を捉えて医薬品の安定供給にどう資するのかが大きな論点だった」と述べ、薬局・薬剤師に直接関連する医薬品販売制度の見直しよりも、医薬品の安定供給問題に対応した法改正事項を最大のポイントに挙げた。
製造販売業者に安定供給体制管理責任者や品質保証責任者の設置を求めているが、岩月氏は「製造から患者さんの手元にわたるまでの薬機法の性格を考えると製造の需要が大きい。医薬品製造は直接われわれに関係するところではないが、薬剤師業務を考えると医薬品の品質がないと業務が成り立たない。そこにテコ入れがあったのは評価すべき点だと思う」と語った。
法改正で後発品メーカーの品質不正を防ぐ効果については「医薬品の供給不安には様々な要素があるが、責任者を規定して責任を果たしてもらうかが論点になる。この5年間の不祥事でそれが浮き彫りになったと理解している」と期待した。
また、責任役員の変更命令の対象から薬局・ドラッグストアが外れたことについては「対象にならなかったのは良かった」と語った。
一方、処方箋なしで販売できる医療用医薬品の販売を行う零売薬局が国を相手に東京地裁に提訴した件にも言及。「法律に書いていないことを規制するのはいかがなものかというのが訴訟の趣旨であるとのことだが、見解と解釈は裁判に委ねる。なぜ訴えられたかは分からないし、これ以上はコメントできない」と述べるにとどめた。