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脳卒中患者の長期的な上肢活動量改善に「自己効力感」が重要と判明-畿央大

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2025年01月14日 AM09:30

心理面や性格特性による麻痺側上肢活動低下に着目し長期的に支援した研究はあまりない

畿央大学は1月5日、心理的要因によって麻痺側上肢の上肢活動量が低下している脳卒中患者1例に対し、上肢活動量の長期的なモニタリングに基づいた行動変容介入を行った結果、上肢機能に加え、日常生活の上肢活動量が改善したと発表した。この研究は、同大大学院博士後期課程の南川勇二氏と同大ニューロリハビリテーション研究センターの森岡周教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

脳卒中患者は、中枢神経系の損傷により上肢機能障害を呈し、性格特性や心理的側面(手に対する自己効力感や結果期待)への影響から、日常生活で麻痺側の上肢を使用することが困難になることがある。これは日常生活活動や社会参加を妨げ、生活の質の低下にもつながる。そのため、リハビリテーション専門家にとって、脳卒中患者の性格や心理的側面を考慮した上肢活動に対する包括的なアプローチが重要だ。しかし、上肢機能に加え、心理面や性格特性による麻痺側上肢活動の低下に着目して長期的な支援した報告はあまりなかった。

そこで研究グループは今回、脳卒中患者1症例に対して入院中からリストバンド型の3軸加速度計を用い、日常生活における上肢活動量を分析するとともに、性格や心理面を考慮した行動変容介入を行った。

定量的上肢活動量評価を用いた行動変容介入を行った結果、上肢活動量が長期的に改善

上肢活動量は活動時間を表す各上肢の活動時間や、その左右比からなる両側の使用率と活動強度(加速度の大きさ)を表す両上肢活動強度の和、両側活動強度比を算出し、可視化することで、麻痺側上肢の使用状況をモニタリングと症例へフィードバックを行った。

さらに、入院中から上肢機能と心理的側面に加えて日常生活の上肢活動量をモニタリングしながら支援し、退院後には訪問リハビリテーションスタッフと連携することで、発症後約1年6か月まで長期的な支援を行った。

その結果、Fugl-Meyer Assessmentの上肢項目やAction Research Arm Test、Motor Activity Logなどの上肢機能評価や自己効力感や結果期待などの心理評価に加え、上肢活動量が長期的に改善し、日常生活活動や趣味活動の再獲得につながった。

長期的な上肢活動量改善には、上肢活動への主観的認識や心理的側面の改善が重要

さらに、同症例の上肢活動量と各上肢関連評価の時系列的関係を検証するため相互相関分析を実施した。

その結果、両上肢活動強度の和は1時点前のMALと自己効力感、両側の使用率は1時点前のARAT、、結果期待と相関関係を認めた。つまり、脳卒中患者の長期的な上肢活動量の改善には上肢活動に対する主観的な認識や心理的側面が先行して改善することが明らかになった。

引き続き、心理的要因と上肢活動量との関係の縦断的な調査が必要

今回の症例報告は、麻痺側上肢活動の向上には、心理評価と加速度計による定量的な上肢活動量のモニタリング結果による適切なフィードバック介入が重要であったことを示唆している。また、入院中から退院後まで上肢活動を長期的にモニタリングして支援した報告であり、1症例ながら重要な知見と言える。一方、1事例を対象とした後方視的な検討であり、心理機能と上肢活動量評価との因果関係を明確に示す結果ではなく、解釈には注意が必要だ。

「本成果は、リハビリテーション専門家が脳卒中患者の日常生活における麻痺側上肢使用の行動変容を考える際に着目すべき点として、心理的側面が重要であることを示している。今後は、その他の要素を含めた脳卒中患者内における上肢活動量の特徴を横断的に調査していくことや、心理的要因と上肢活動量の関係を縦断的に調査する必要がある」と、研究グループは述べている。

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