厚生労働省は、麻酔用鎮痛剤のフェンタニル注射液について、適正な発注と使用を求める事務連絡を医療機関に発出した。出荷制限による供給不安を踏まえたもので、過剰発注は厳に控え、代替製剤の使用が困難な医療行為等に優先的に使用することに努めるよう協力を求めた。
フェンタニル注射液を製造販売するテルモは、海外の生産工場における製造トラブルによる0.25mg製剤の出荷停止と0.5mg製剤の出荷制限を行っている。そのため、第一三共プロファーマが「フェンタニル注射液0.1mg『第一三共』、同0.25mg」の出荷量を通常より増加させているものの、両社製品の供給量は国内の全体需要量を下回る見込みとなっている。
供給の現状を踏まえ、治療が必要な患者に優先的に使用する観点から、日本麻酔科学会は2024年12月、フェンタニルの買い込みを控え、当面の必要量のみ購入するよう医療機関に要請。また、手術中、他で代替できない状況での使用、術後鎮痛でモルヒネや他のオピオイドへの移行が難しい患者、分娩時の硬膜外鎮痛など、各施設の状況に合わせて使用の優先順位を策定することなども検討するよう求めていた。
そのため、厚労省は今回の事務連絡で同様の内容を改めて医療機関に求めた。
一方、解熱鎮痛剤など歯科診療所で歯科治療に用いる医療用医薬品が入手困難な現状を踏まえ、厚労省は6日付の事務連絡で、歯科用医薬品卸売販売業者や歯科診療所にも適切な量を供給するよう日本医薬品卸売業連合会に要請した。
歯科診療所における解熱鎮痛剤、抗菌剤、麻酔剤の購入量が少量であることや購入実績が少ないため、限定出荷や出荷調整の影響を受けやすく、入手困難状況が続いているとした。