エジプト産生乳・チーズなどから大腸菌を分離、薬剤耐性、関連遺伝子などを検出
大阪公立大学は12月20日、エジプトで生産された水牛やヤギのミルク、チーズ、ヨーグルトなどから病原性のある大腸菌を分離し、その性状を調べた結果を発表した。この研究は、同大大学院獣医学研究科/大阪国際感染症研究センターの山﨑伸二教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「International Dairy Journal」オンライン速報版に掲載されている。
画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)
エジプトでは農家や生産者の食の安全に関する意識が十分でなく、インフラもあまり整備されていない。また、エジプトでは加熱した牛乳や加熱乳で作った乳製品より、生乳や生乳で作った乳製品が好まれるため、これらの大腸菌汚染を調べることが重要だ。今回の研究では、エジプトの生乳および生乳で作ったチーズやヨーグルトから大腸菌を分離し、血清型や病原因子、薬剤耐性およびそれらに関わる遺伝子を検出した。
富山県での大規模集団食中毒の大腸菌と同じ血清型(OgGp9:Hg18)の菌を検出
その結果、2021年に富山県で牛乳が原因で発生した、1,800人以上の罹患者を出した集団食中毒に関わった大腸菌と同じ血清型(OgGp9:Hg18)の菌が含まれていることがわかった。また、3型分泌装置と呼ばれる同じ病原因子を保持していることも明らかとなった。
世界での大腸菌分布を調べ、食中毒対策が求められる
今回の研究から、日本で見つかった大規模集団食中毒事件を引き起こす可能性のある大腸菌が、エジプトにも存在していることが明らかとなった。エジプトでも乳製品を介した同じような大規模集団食中毒が起こる可能性があり、今後、同菌の検出系を構築し、日本やエジプトのみならず、アジアを含む世界での分布を調べ、食中毒を未然に防ぐための対策を講じることが求められる、と研究グループは述べている。
▼関連リンク
・大阪公立大学 プレスリリース