パーキンソン病患者、「足こぎ」と「手動」で車いすの駆動を比較
畿央大学は12月19日、すくみ足のあるパーキンソン病患者に足こぎ車いすを導入し、従来の手動車いすに比べてスムーズかつ十分な速度で駆動できることを明らかにしたと発表した。この研究は、同大の岡田洋平准教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Movement Disorders Clinical Practice」に掲載されている。
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パーキンソン病患者は、疾患の初期段階から歩行能力が低下し、進行に伴いその傾向が顕著になる。その結果、日常生活で車いすが必要となることがある。しかし、手動車いすを使用する際にも駆動能力が制限される場合が多いことが課題である。一方で、パーキンソン病患者は自転車のペダル操作能力が比較的保たれていることが知られている。
今回の研究では、ペダル操作で駆動する足こぎ車いすに着目。その有効性を手動車いすと比較した。
手動車いすでは駆動困難な患者も、足こぎ車いすで移動が可能
研究の結果、手動車いすの駆動能力が著しく低下している患者でも、足こぎ車いすではスムーズかつ十分な速度で移動可能であることを確認した。同研究では、すくみ足を有するパーキンソン病患者2人を対象に、足こぎ車いすと手動車いすによる10m直進路の駆動能力を比較した。症例1では、手動車いすの約6倍の速度で足こぎ車いすを駆動できた。症例2では、強い前屈姿勢があり手動車いすでは途中で停止。しかし、足こぎ車いすでは十分な速度で完走可能だった。
今後、方向転換や狭いスペースでの操作性など検証へ
今回の研究の結果、パーキンソン病患者の足こぎ車いすの駆動能力は、従来の手動車いすと比較して非常に高いことが明らかにされた。パーキンソン病患者にとって、日常生活で自由に動けることの意義は大変大きく、生活の質の向上への寄与が期待される。今後は、方向転換や狭いスペースでの操作性など、より実用的な検証を進め、施設環境などでの有効性も調査できればと考えている、と研究グループは述べている。
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