患者検体をFISH解析、約半数でMCL1のコピー数増幅
がん研究会は12月19日、骨肉腫患者に対する新規治療アプローチとしてMcl-1阻害剤に基づく治療法が有効である可能性を実験的に確認し、MCL1のコピー数増幅が同治療法の効果予測バイオマーカーとなる可能性を示したと発表した。この研究は、同会がん化学療法センター基礎研究部の片山量平部長、高木聡研究員、がん研有明病院整形外科の阿江啓介部長、齊藤正徳副医長らの研究グループによるもの。研究成果は「Oncogene」に掲載されている。
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骨肉腫は、患者に共通するアクショナブルなドライバーがん遺伝子変異が同定されておらず、薬剤開発が遅れている。研究グループは、同会で治療を受けた骨肉腫患者検体を対象にDNA-FISH解析を実施した。
その結果、約半数に相当する46.3%(19/41症例)において抗アポトーシスBcl-2ファミリータンパク質のMCL1のコピー数増幅が認められることを発見した。この頻度は、小児の骨肉腫患者に限定された国際データベースで解析した場合には、70.4%(57/81症例)に及ぶこともわかった。
Mcl-1阻害剤+IGF-1R阻害剤、骨肉腫モデルマウスに対し有意な抗腫瘍効果
MCL1遺伝子が位置する染色体1q21.2-3領域近傍には、IGF-1R/PI3K経路の下流因子が複数存在しており、MCL1のコピー数増幅が認められた骨肉腫ではこれらの因子も共に増幅していた(1q21.2-3amp)。そこで、Mcl-1阻害剤とIGF-1R阻害剤の併用療法を検討したところ、この併用療法は1q21.2-3ampを伴う骨肉腫モデルマウスに対して有意な抗腫瘍効果を示した。
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