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ポライビー 、未治療のDLBCLに対する良好な5年データ発表-ロシュ

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2024年12月24日 AM09:20

再発・難治性DLBCL、救援療法の選択肢限られ生存期間短いことが課題

エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社は12月8日に未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫()の患者を対象に、(R)(一般名:)とR-CHP療法[MabThera(R)/リツキサン(R)(一般名:リツキシマブ)、シクロホスファミド、ドキソルビシンおよびプレドニゾン]の併用を評価する第3相POLARIX試験(NCT03274492)の5年間の主要なフォローアップデータを発表した。このデータは第66回米国血液学会(ASH:American Society of Hematology)年次総会で発表された。

DLBCLは、:non-Hodgkin lymphoma)の中で最も多い病型で、NHLの約3分の1を占め、NHLの中でも急速に成長するタイプである。世界では毎年約16万人がDLBCLと診断されると推定されている。通常はフロントライン治療に反応する一方で、最大40%の患者が再発するか難治性となるものの、その場合の救援療法の選択肢は限られており、生存期間も短いとされている。早期の治療改善と新たな治療選択肢の提供が、長期的な予後を改善する可能性がある。

「ポライビー」、NHLのB細胞に特異的に発現するCD79bに結合

ポライビーは、ファーストインクラスの抗CD79b抗体薬物複合体(ADC)。CD79bタンパク質は、一部の種類のNHLに影響を与える免疫細胞であるB細胞の大部分に特異的に発現しており、新たな治療法開発の有望なターゲットとなっている。ポライビーは、CD79bなどのがん細胞に結合し、抗がん剤の送達によりこれらのB細胞を殺傷し、正常細胞への影響を抑えると考えられている。ポライビーは、ファイザーのADC技術を用いてロシュ社により開発されており、現在、数種類のNHLの治療薬として研究されている。

第3相POLARIX試験、「ポライビー+R-CHP」を「R-CHOP」と比較

POLARIX試験は、未治療のDLBCL患者を対象に、ポライビーとR-CHP療法の併用と、[リツキサン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾン]の有効性、安全性および薬物動態を比較評価した国際共同第3相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験である。

879人の患者を1:1にランダム化し、ポライビー+R-CHP療法+ビンクリスチンのプラセボを6サイクル投与後、リツキサンを2サイクル投与、またはR-CHOP療法+ポライビーのプラセボを6サイクル投与後、リツキサンを2サイクル投与した。

主要評価項目は、Lugano Response Criteria for malignant lymphomaに基づく治験責任医師評価による無増悪生存期間(PFS)。PFSは、未治療のDLBCL患者にとって臨床的に意義のある疾患関連アウトカムであり、初回治療の目標である疾患悪化リスクの低減を表している。副次的評価項目は全生存期間である。

ポライビー併用、OSで改善傾向示し放射線療法などのフォローアップ治療も約25%減少

発表された5年(中央値60.9か月)の追跡調査解析では、ITT(intent-to-treat)集団において、ポライビーとR-CHP療法の併用が、R-CHOP療法の併用と比較して、全生存期間(OS:overall survival)において良好な改善傾向を示した。結果は、ポライビーの併用により、未治療のDLBCL患者の死亡リスクが減少する傾向を示し(ハザード比:0.85、95%信頼区間:0.63~1.15)、3年間の追跡調査データ(ハザード比:0.94、95%信頼区間:0.67~1.33)から改善が見られた。POLARIX試験の5年間の解析では、治療群間のOSの完全な差はまだ観察されておらず、さらに2年間の追跡調査が継続される予定である。

OSの良好な改善傾向に加えて、観察分析では、R-CHP療法と併用してポライビーを投与された患者は、R-CHOP療法で治療された患者と比較して、放射線療法、全身化学療法、CAR-T細胞療法などのフォローアップ治療が約25%減少することが示された(38.3%対61.7%)。再発または難治性DLBCLにおいて、治療ラインの追加に伴い医療費総額が増加するという過去の経済分析に基づくと、その後の治療回数を減らすことで、再発や病気の進行に伴う経済的負担の一部を軽減できる可能性がある。

長期的寛解をもたらす可能性を示唆、新たな安全性シグナルは観察されず

今回の5年追跡調査では、R-CHP療法とポライビーの併用による無増悪生存期間および無病生存期間のベネフィットが維持され、3年間の追跡調査データと一致しており、R-CHP療法とポライビーとの併用が持続的で長期的な寛解をもたらす可能性を示している。最新のフォローアップデータでは、R-CHP療法とポライビーとの併用で治療した患者は、R-CHOP療法で治療した患者と比較して、リンパ腫に関連する死亡率が数値的に減少したことも示された(9.0%対11.4%)。

安全性プロファイルは、個々の試験薬の既知のプロファイルと一致しており、新たな安全性シグナルは観察されず、ポライビー併用の良好なベネフィット・リスクプロファイルを示している。(QLifePro編集部)

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