調査は11月1日から今月4日にかけてオンライン調査で実施し、4551薬局から回答を得た。
長期収載品にかかる選定療養の説明を受けた患者のうち、後発品への変更を希望した患者のおおよその割合を聞いたところ、「5割」が844薬局と最も多く、「7割」が833薬局、「8割」が733薬局と続いた。説明を受けた患者のうち、長期収載品の選定療養を選択した患者に支払いを求める特別の料金の平均金額は586円だった。
長期収載品の選定療養の対象患者に説明を行った際に算定される「特定薬剤管理指導3-ロ」の平均算定率は3.12%、患者1人当たりのおおよその説明・対応時間の中央値は「1~3分以内」で平均値は2.89分となった。
長期収載品を調剤した理由の内訳を見ると、「医療上の必要性から長期収載品を調剤」が19.6%、「患者本人の希望」が46.2%、「保険薬局における後発品の在庫状況を踏まえ、後発品を提供するのが困難」が34.2%となった。
特出すべき好事例については722薬局のうち、約130薬局が「後発品使用率の向上」を挙げた。特に小児や公費負担患者の後発品使用率が上昇していた。
後発品使用を拒否していた患者が自己負担額の増額で後発品を選択するようになるなど、「患者の意識変化」を挙げたのは約70薬局に上った。
そのほか、「先発品と原薬や製法などが同一のオーソライズドジェネリック(AG)があることを知らせると変更してくれる」「薬剤師の説明スキル向上」「患者とのコミュニケーションが増え信頼関係が深まった」などの好事例も報告された。
一方、薬局が負担となっている工程を聞いたところ、最も多かったのが「対象患者への制度説明」で85.8%、次いで「対象患者からの意向聴取や相談対応」が71.0%、「差額の算出」が66.8%となった。一方、「後発品の在庫確認」は47.1%、「変更に伴う医薬品調達」は33.2%、「変更に伴う欠品発生・対応」との回答は32.3%となった。
制度開始後は患者説明の工程が負担となっていたが、今後は「調達・在庫管理」の業務に対する負担感が増えていくと予測している。フリーコメントでも、「後発品への変更が進むことで長期収載品が不動在庫となり廃棄リスクが高まっている」「品目数が増えてしまい、在庫金額が上がり管理も大変になった」「後発品の安定供給に不安があり在庫確保に苦慮している」など、中間年改定が行われた場合には評価損となることへの懸念も指摘された。
石井僚特任部長は12日の記者会見で、リフィル対応に加え、長期収載品の選定療養でも「医療上の必要性」や「患者希望」の項目をチェックしなければならない処方箋様式の複雑化を問題視。「薬局現場で目視で確認しなければならない項目が多く、チェックにストレスがかかっている。本来であれば薬学的業務に注力しなければならないが、アナログ的なところに力を使わなければいけないことが悩みになっている」と吐露した。