中央社会保険医療協議会薬価専門部会は11日、来年度の中間年薬価改定に向け、業界団体へのヒアリングを行った。日本医薬品卸売業連合会の宮田浩美会長は、2024年度薬価調査の速報値で平均乖離率が約5.2%と過去最小となった結果に対し、「流通改善ガイドラインの趣旨を踏まえて古い商習慣からの脱却を目指して取り組んでいる。その成果の一つが近年の乖離率の圧縮であり、今年度の平均乖離率が5.2%まで至った事実として考えている」と強調。中間年薬価改定の廃止を要望した。
宮田氏は「安定供給体制を脆弱化する負のスパイラル構造になっている。物価上昇や地政学的リスク上昇に加え、毎年の薬価改定で製薬企業、医薬品卸は多くの問題に直面している」と指摘。流通改善ガイドラインに基づき医薬品の価値に見合った単品単価交渉の促進に取り組む一方で、「流通改善だけでは安定供給基盤を脆弱化させる負のスパイラルを断ち切ることはできない」と主張した。
また、不採算品再算定品の限定出荷状況に関する調査で、「薬価10円以上20円未満」「薬価30円以上40円未満」の製品で供給状況の改善が見られた一方、「10円未満」の低薬価品では状況が悪化しているとの実態も紹介した。宮田氏は「(薬価10円未満には)メジコンやムコダインといった医療機関や薬局、患者さんが困っている品目も多く含まれている。2000年から見直しがされていない最低薬価を引き上げる方向で見直してほしい」と訴えた。
日本製薬団体連合会の岡田安史会長も、薬価調査の結果について「一部取引における過度な薬価差や偏在是正の議論がある中、加重平均値として前年より0.8%縮小した」と成果をアピール。「多くの薬局で在庫管理コストや在庫の損耗もあることを踏まえると、この乖離幅は適正な薬価差を大きく逸脱している実態を示すものとは認識していない」と述べ、中間年改定の実施に反対した。
委員からは、投与経路や薬効分類別に見ると薬価と市場実勢価の乖離率に差が生じている原因について質問があった。宮田氏は、「総価の値引や加重の値引が存在しており、ガイドラインが出て即座に単品単価交渉でできるかというのは難しい部分がある。競合があるもの、物量が多いものは各社が価格交渉で提示した結果」と述べた。