改訂内容として、「重要な基本的注意」の項目を新設した上で、妊娠する可能性のある女性への投与に際しては投与の必要性を十分に検討すること、投与が必要な場合も投与開始前に十分な問診を行い、妊娠していないこと、妊娠している可能性がないことを確認することを記載する。
さらに、服用した場合は胎児に影響を及ぼす可能性があること、服用中または最終服用後2週間における妊娠が判明した場合は速やかに医師や薬剤師等に相談することなどを、投与開始前に患者に説明することを求める。
これら2品目は催奇形性のリスクを有するため、妊婦または妊娠している可能性のある女性への投与を禁忌としているが、製造販売開始後、投与後に妊娠が判明した事例がゾコーバで54件、ラゲブリオで19件報告されている実態を踏まえ、改訂が必要と判断した。
一方、この日の調査会では、放射性ヨウ素による甲状腺の内部被曝の予防・低減等を効能・効果とするヨウ化カリウム製剤と、高血圧症治療剤のエサキセレノン、エプレレノンの併用禁忌を解除する使用上の注意の改訂案も了承した。
ヨウ化カリウム製剤は、日医工の「ヨウ化カリウム『日医工』」等とエサキセレノンは第一三共の「ミネブロ錠、同OD錠」、エプレレノンはヴィアトリス製薬の「セララ錠」等を改訂対象とした。
エサキセレノンとエプレレノンは、作用機序のカリウム貯留作用により高カリウム血症を誘発する可能性があり、カリウム製剤を併用した場合にリスクが高まる恐れがあるため、高血圧症に使用する場合にカリウム製剤を「併用禁忌」としている。
一方、国の原子力災害対策指針では、放射性ヨウ素による甲状腺の内部被曝の恐れがある場合、安定ヨウ素剤を適切なタイミングで服用できるよう準備しておくことが必要とされ、予防的防護措置を準備する区域の対象住民に事前に安定ヨウ素剤を配布し、緊急事態では速やかに服用することとしている。ただ、医療関係者が不在の状況で服用することなどを踏まえ、改めて併用禁忌の必要性を見直すことにした。
具体的には、ヨウ化カリウム製剤では、放射性ヨウ素による甲状腺内部被曝の予防・低減に関する効能・効果について、エサキセレノンとエプレレノンを「禁忌」と「併用禁忌」の項目から削除した上で「併用注意の項目」に転記することとした。
エサキセレノン、エプレレノンの高血圧症の効能・効果についても、禁忌・併用禁忌の項目では、ヨウ化カリウム(放射性ヨウ素による甲状腺の内部被曝の予防・低減に使用する場合を除く)に変更し、併用注意の項目には、ヨウ化カリウム(放射性ヨウ素による甲状腺の内部被曝の予防・低減に使用する場合)を記載することとした。