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慢性腎臓病患者の10年後死亡リスクに野菜・果物の摂取が関与-新潟大

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2024年12月06日 AM09:20

血液透析患者におけるPRALと10年間の死亡リスクとの関連は?

新潟大学は11月28日、野菜や果物の摂取が少ない慢性腎臓病患者(血液透析患者)は、10年後の死亡リスクが高いことを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医歯学総合研究科腎研究センター病態栄養学講座の田中舞大学院生、蒲澤秀門特任講師、細島康宏特任准教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Journal of Renal Nutrition」オンライン版に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

末期腎不全に伴う透析患者数は世界的に増加しており、日本でも年々増加している。そのような中で、透析患者は高齢化や糖尿病などの合併症も含め、さまざまな要因で低栄養・消耗をきたしやすいことから、適切な栄養・食事療法が行われることが望ましい。これまで、保存期慢性腎臓病(chronic kidney disease:)患者や血液透析患者において、カリウムを多く含む野菜や果物を食べることを控える指導が行われることが多くあった。

しかし、近年のさまざまな論文報告などから、保存期CKD患者において、腎機能悪化を抑制する可能性があるため、アルカリ性食品(野菜や果物の摂取など)による食事療法を提案することが、ガイドラインに追加された。だが、これは透析に至っていない保存期CKD患者を対象としたものであり、透析患者を対象に食品や栄養素の摂取量と死亡リスクなどの転帰を長期間にわたり調査した検討はなかった。

そこで研究グループは今回、血液透析患者における食事性酸負荷の指標である「潜在性腎臓酸負荷(Potential Renal Acid Load:)」と10年間の死亡リスクとの関連について検討を行った。また、野菜や果物などのさまざまな食品の摂取量がこの指標に与える影響も解析した。

10年間の生存率、PRALの値が高い群が有意に「低」

2013年、新潟市の信楽園病院通院中の血液透析患者を対象とした臨床研究「維持血液透析患者における米胚乳タンパク質補充の無作為化二重盲検クロスオーバー試験」へ参加した44人を対象に、10年間の生命予後を調査した。食事調査から得られる栄養素摂取量を用いてPRAL値を算出し、死亡リスクとの関連について検討した。食事調査は自記式食事歴質問票を用いた。

研究の結果、血液透析患者における10年間の生存率は、PRALの値が最も高い群が低い群に比べて有意に低かった。

PRAL高リスク、緑黄色野菜の摂取量少で5.40倍、果物の摂取量少で4.67倍

また、野菜や果物は食事性酸負荷が小さい(PRAL値がマイナスを示す)アルカリ性の食品として知られているが、PRALが高くなるリスクについて検討をしたところ、そのリスクは緑黄色野菜の摂取量が少ない場合は5.40倍、果物の摂取量が少ない場合は4.67倍であることが示された。

このことから、血液透析患者に対して管理栄養士が栄養指導を行う際には、高カリウム血症に注意しながらも、果物や野菜を含めたアルカリ性食品の重要性を説明していく必要があると考えられた。

透析患者の低栄養・消耗の改善に寄与する栄養・食事療法の研究に期待

今後は同研究をもとに、より詳細な検討が望まれる。血液透析患者における野菜や果物の望ましい摂取量についての検討を含む、透析患者の低栄養・消耗の改善に寄与する栄養・食事療法の研究が期待される、と研究グループは述べている。

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