財政制度等審議会は11月29日、2025年度予算編成に関する建議をまとめ、加藤勝信財務相に提出した。25年度薬価改定(中間年改定)については、原則として全品目を対象に、通常改定と同様に既収載品の算定ルールを全て適用するよう求めた。後発品については、薬価制度で企業評価の完全実施や企業評価を活用した薬価改定を行いつつ、安定供給に貢献しない場合はディスインセンティブ措置を実施すべきと主張した。
建議では25年度薬価改定について、「市場実勢価格を適切に反映するため、着実に実施する必要がある」と明記。安定供給確保に貢献する品目や真に革新的な品目など「政策的対応の合理性があるもの」を除き、原則として全品目を対象に実施するよう求めた。
前回の23年度中間年改定では、新薬創出等加算の累積額控除や長期収載品に関する算定ルールなど多数のルールが適用されなかったことは「合理的説明が困難」として、既収載品の算定ルールは全て適用すべきとした。
調整幅2%についても、価格や薬剤の種類に依らず一律2%としていることの妥当性やあり方を見直すよう検討が必要と指摘。新規性の乏しい新薬に対する評価方式の類似薬効比較方式IIについては、比較対照となる類似薬として後発品も対象とすることを含め、具体的な見直しを早急に行うべきとした。
費用対効果評価を実施する薬剤の範囲や価格調整対象範囲を拡大すると共に、費用対効果評価の結果を保険償還の可否の判断に用いることも求めた。
後発品関連では、薬価制度で企業評価の完全実施や企業評価を活用した薬価改定を行う一方、安定供給に貢献しない場合にはディスインセンティブ措置を設けるなど、業界再編に向けて中心的役割を担う企業を評価すべきとした。バイオシミラーについては、バイオ先発品の一部選定療養化も含め、推進につながる幅広い取り組みを強力に推進する必要があるとした。
セルフケア・セルフメディケーションにも言及。国民の予防・健康意識の向上にもつながるものとし、政府としてもOTC薬の適正な使用に資する取り組みと合わせて積極的に推進していく必要があるとした。
リフィル処方箋の利用率が0.05%にとどまる現状から、利用率低下の原因を正確に把握した上で、利用促進に必要な政策対応を求めた。