厚生労働省の「革新的医薬品・医療機器・再生医療等製品創出のための官民対話」が21日に開かれ、製薬業界団体は2025年度中間年薬価改定の廃止を訴えたが、行政側は「中央社会保険医療協議会で業界団体を含めた関係者の意見を踏まえつつ検討していく」と改めて慎重な回答をするにとどめた。
1年ぶりに開かれたこの日の対話では、医薬品、医療機器、再生医療等製品の業界団体、アカデミアからイノベーション推進に向けた今後の方策をヒアリングした。
日薬連は、円安や物価上昇の影響で医薬品の原薬・原材料・包装材料等の調達コストが上昇し、医薬業種の賃上げ率は4.2%と11業種で最も低いなどと説明し、25年度予定の中間年改定を廃止するよう訴えた。日本製薬工業協会も日本市場の魅力向上に向け、イノベーション評価や費用対効果評価の適切な運用と共に、中間年改定の廃止を求めた。
中間年改定廃止の要望に対して、厚労省は25年度薬価改定に関する政府方針として「イノベーション推進、安定供給確保の必要性、物価上昇など取り巻く環境の変化を踏まえて国民皆保険の持続可能性を考慮しながらあり方を検討していく」との文言が示されていることを改めて説明した上で、「中医協で業界団体を含めた関係者の意見を踏まえつつ検討していく」と回答した。
創薬力強化に向け、外資系製薬企業やベンチャーキャピタルを含めた官民協議会が来年度に設置予定で、製薬業界からは協議会への関与を求める声も上がり、設置に向けた進捗状況に関する質問も出た。
厚労省は、「来年度の設置に向け、どのような準備ができるか協議会の内容を含め検討している」と応じた。