同日に開かれた厚生労働省の医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議で報告した。厚労省は、後発品の製造販売承認を持つ全ての製造販売業者172社・全8734品目を対象に、バイオシミラーを除き薬価収載されている後発品の製造方法等について自主点検を行った上で、10月末までに結果を日薬連と都道府県に報告するよう求めていた。
全社・全品目で自主点検が完了した結果、全体の約44%に当たる3796品目で製造販売承認書との相違が確認された。内訳は、「必要な薬事対応を実施中」が3272品目、「薬事対応が必要か否か行政に相談中」が340品目、「必要な薬事対応が終了した」が184品目だった。
相違として報告された事案では、原材料全量を一度に投入して混合するところを少量ずつ分割して投入していたほか、添加物名の誤記や品質試験における計算式の誤記等が見られた。
一方、品質・安全性等への影響を踏まえ、自主回収等の対応が必要な「重大な相違事案」に該当するものは確認されなかった。
厚労省は、相違が見られたものの品質等に影響を与える懸念がない品目に関しては、医薬品軽微変更届書等の提出を求めている。そのため、日薬連は自主点検後のフォローアップとして、必要な対応を行うよう加盟社に強く促すとしたほか、点検後手続きの月次進捗管理、一定期間内での相違解消を目指し、再発防止のためのシステム化の実施状況に関する実態調査も行うとした。
日薬連安定確保委員会の梶山健一委員長は、「品質問題に対する企業のスタンスは今回の点検でレベルアップした」と評価した上で、約44%の品目で相違が見られた結果を踏まえ「非常に重く受け止め、再発防止に向けて定期的に点検を実施し、相違を解消していきたい」と説明した。
豊見敦構成員(日本薬剤師会常務理事)は、「数字を見て驚いている。医療現場では相違がないものとして患者に説明しているが、相違があっても仕方ないとの文化があると認識した」と厳しく指摘した。
川上純一構成員(浜松医科大学病院薬剤部長)は、「相違のある状態が放置されてきた原因や背景を調査しなければ再発防止につながらない」とし、原靖明構成員(日本保険薬局協会医薬品流通・OTC検討委員会副委員長)も「なぜ相違が起きたかが重要で、入口(原因)をしっかりと閉めた上で結果がどうなるか確認する必要がある」と述べた。