日本病院薬剤師会中国四国ブロック会長会議が15日に岡山市内で開かれ、基幹病院から地域病院への薬剤師出向について、未実施の鳥取、島根、香川、徳島、愛媛の各県でも具体的な計画が進んでいることが示された。各県で、出向する地域や病院、細部の環境整備などを協議しており、2024年度内や2025年度初頭から出向が始まる見通しだ。
薬剤師出向等の要件を満たすと基幹病院は薬剤業務向上加算を算定でき、大きな収入を得られる。それを原資に同ブロックの二つの大学病院では、薬剤師を増員できたり、今後の増員が認められたりするなど、薬剤部活性化につながる見込みがあるという。
日病薬の武田泰生会長は、薬剤業務向上加算は「アウトカムが必要ということを忘れないでほしい」と述べ、アウトカムが伴わなければ廃止の可能性もあると言及。
基幹病院での薬剤師教育体制整備や医療の質向上、地域病院での業務拡充などアウトカムを意識して取り組むよう求めた。
このほか、鳥取県病院薬剤師会の森田俊博会長(日野病院薬剤部長)は、医薬品の供給不足が続く中、現在は法律で禁じられている病院間や病院と薬局間での医薬品融通を可能とする法規制の整備を要請した。
森田氏は「処方箋応需薬局には在庫がなくても、院内には在庫があったりする。しかし、薬局には出せず、処方変更等で対応することになる」と語った。
武田氏は「高額な抗癌剤の在庫の影響で倒産した薬局がある。病院から一時的に貸すなど、医薬品をやりとりできれば効果的だが、実際には法律でできない。患者さんのメリットになるとなれば、行政に話はしやすい」と応じた。
一方、薬剤師確保に向けて各県病薬の会長から、薬学生への求人活動の開始時期を病院と薬局で揃えるよう求める声が上がった。
多くの病院が6年生を対象に求人活動を行っているのに対し、大手を中心に薬局やドラッグストアは早期から求人活動に取り組み、薬学生がそこでの就職を決める傾向があると指摘した。