前立腺がん患者525人対象、医療従事者とのコミュニケーション・治療満足度など調査
アストラゼネカ株式会社は11月8日、前立腺がんと診断されたことのある525人を対象に、前立腺がんの治療選択の意思決定における、患者の情報提供のニーズおよび医療従事者とのコミュニケーションと治療満足度の関係性について調べるインターネット調査を実施した結果を発表した。
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前立腺がんは、日本人男性において罹患数が最も多いがんだ。50代ごろから罹患が増え始め、早期ステージでの発見が多く、進行も比較的緩やかなことが多いと言われている。治療においては、男性ホルモンの分泌や作用を抑制するホルモン療法がおこなわれることが一般的だが、一部の患者ではその治療効果が薄れ、悪性度の高い転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)へ進行することがあり、mCRPCと診断されてからの生存期間は、患者によるが、約3年と言われている。この数年で、前立腺がんの検査や治療法は大きく進歩し、患者一人ひとりの希望に合った治療を医療従事者とともに決定していくShared Decision Makingがより一層重要になってきている。
今回の調査の目的は、前立腺がんの治療選択における、患者の情報提供に対するニーズおよび医療従事者とのコミュニケーションと治療満足度の関係性の把握。回答者数525人のうち、転移性前立腺がんが52人、非転移性前立腺がん473人だった。
治療選択肢、患者の約9割は複数提示希望だが3割弱が1つのみ提示だったと回答
調査の結果、治療選択時において、患者が最も知りたいと思った項目は、全体では「担当医が最も薦める治療」(64%)であり、転移性前立腺がん(mPC)患者では、「治療効果がどの程度の期間、期待できるか」「治療が効かなくなった場合の次の選択肢」「薬の名前」といった項目に対する関心が、全体と比較して高かった。
治療選択肢の提示において、「1つ提示」を希望した患者は、全体では13%、mPCでは35%だったが、実際1つ提示されたと回答したのは全体で26%、mPC患者では52%だった。全体で87%、mPCでは65%と、患者の多くは「複数提示」を希望していたが、実際に複数提示されたのはそれぞれ72%、48%にとどまった。
患者全体の29%、治療への要望を伝えておらず
また、患者全体の29%となる150人が治療に対する要望を伝えていなかった。また、要望を伝えなかった患者のうち、要望があったにもかかわらず伝えていなかった患者が59%おり、そのうちの65%の患者が医師から治療に対する要望を確認されていなかった。
遺伝子検査の「意味まで知っている」は17%、mPC患者9割が「検査説明受けなかった」
遺伝子検査について「聞いたことがあり、意味も知っている」と回答した患者は、前立腺がん患者全体では17%、mPC患者においては25%であった。また、mPC患者で遺伝子検査の説明を受けたのは8%にとどまり、90%が説明を受けていなかった。
医師とのコミュニケーションに満足した患者は、治療満足度も高く、コミュニケーションに不満があった患者は、治療満足度も低い傾向が見られた。
同社は今回の調査結果について、「治療の意思決定プロセスにおいて患者の要望が医師と適切に共有されていない可能性が明らかとなり、前立腺がん治療におけるShared Decision Makingの課題が浮き彫りとなった」と述べている。
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・アストラゼネカ株式会社 プレスリリース