少量多品目構造の見直しに向けて薬価の観点から対応できる点を評価指標に加えることについて、診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は「少量多品目を一律に制限するのは違和感があり、製品の種類によっては少量多品目生産でも安定供給を確保している企業は評価されるべき」とした上で、「医療上の必要性があるにも関わらず収益が見込めずに撤退するなど、企業として責務を果たしていないと評価できる項目と合わせて検討すべき」と訴えた。
森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、「産業構造改革を進める上で必要な対応」としつつ、「企業規模や取扱品目によって評価の影響を受けることが考えられるので、各社の状況を把握した上で検討していくべき」と主張。支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は「構造改革には5年程度かかる。総合商社型や領域特化型の企業に収斂することも想定しつつ、まずはシミュレーションした上で少量多品目構造の見直しに関する指標の導入について妥当性を判断すべき」との考えを示した。
24年度改定では、医療用医薬品の安定供給を目的に、企業から希望のあった1943品目を対象とし、不採算品の薬価引き上げや維持(不採算品再算定適用品目)も行われた。適用品目のうち供給状況が改善されたのは41.8%で非適用品目の28.3%よりも高かった。一方で悪化した品目も9.8%を占めた(非適用品目は15.7%)
松本氏は、「ポジティブな影響は限定的で、特例措置を繰り返すことでルールがなし崩し的になる問題がある」と指摘。森氏も「供給状況が悪化した品目もあり、適用の効果を供給状況の改善という見える形で業界は取り組みを進めてほしい」と求めた。
企業指標の活用については、松本氏が「24年度改定では一部のみ試行的に導入したが、全指標が揃って初めてバランスの取れた評価になる。評価指標をアップデートして25年度改定から適用すべき」と述べるなど、支払側・診療側双方の委員が指標の活用と25年度改定での適用を求めた。