文部科学省の大学設置・学校法人審議会は10月29日、2025年度開設予定の大学等の設置に関する答申を公表し、岡山理科大学に新学科を開設する加計学園に対して、法人全体として定員未充足の改善に努めるよう求めた。同学園が運営する千葉科学大学薬学部薬学科等の定員充足状況が悪化している現状を踏まえて指摘した。
岡山理科大は、生命科学部に定員70人の医療技術学科の設置認可申請を行っている。今回の答申で設置を「可」とされたが、答申の附帯事項では、同大の複数の学部学科だけでなく、同学園が運営する6年制の千葉科学大薬学部薬学科や危機管理学部保健医療学科等も引き合いに、「定員充足状況が悪化している組織があることから、法人全体として設置校の今後のあり方を検討し、定員未充足の不断の改善等に努めること」を学園側に遵守事項として求めた。
千葉科学大をめぐっては、入学志願者数の継続的な減少による赤字経営が続き、有識者からなる公立大学法人化検討委員会が8月に取りまとめた答申では、将来的にも赤字が続くと予想された薬学部薬学科は廃止し、加計学園が設置する他大学への移転、他学校法人への譲渡が公立化する場合の条件の一つとして示されている。
一方、同審議会は25年度からの私立大学医学部の収容定員増に関する学則変更の答申も公表。岩手医科大学が入学定員数を現行から35人増の130人を計画していることを受け、附帯事項として、6年制薬学部薬学科の収容定員未充足の是正に努めることを遵守事項として求めた。
24年度における同大薬学部薬学科の収容定員充足率は48.4%、23年度は49.5%と、収容定員の半数にも届かない状況が続いている。