厚生労働省は23日、医薬品の条件付き承認制度に関する通知を一部改正した。欧米で条件付き承認制度に準じる制度によって承認を受け、承認後に検証的試験の実施が予定されている品目については、「積極的に制度の活用を検討する」ことを追記した。医薬品医療機器等法による法制化後の承認品目が未だにない状況を踏まえ、制度活用の検討を促し、ドラッグラグ・ロス解消につなげたい考えだ。
通知の一部改正は、3月に取りまとめられた「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」における検討を踏まえたもの。これまでは「検証的臨床試験の実施が困難であるか、実施可能であっても患者数が少ないこと等により実施に相当の期間を要すると判断されること」が条件付き承認制度の要件とされていたが、「日本人を対象とした追加データが必要になる場合」も検討対象とした。
また、「致死的な疾患や、急速かつ不可逆的に進行する疾患等」でも、有効性や安全性が検証されていない不確実性を考慮しても臨床試験の実施で開発が遅れることによる患者の不利益が上回る場合は要件に該当するとした。
申請者から条件付き承認制度の申請がない場合にも、承認審査の過程で条件付き承認制度に基づく承認が適切と判断すれば承認を行う可能性も記載。その場合は、厚労省から検証的臨床試験の試験成績に関する資料の提出免除条件の概要を公表するとしている。
製造販売後に当該医薬品の有効性、安全性の再確認を行う場合は必ずしも臨床試験を求めるものではなく、情報収集の目的に見合うものであれば、製造販売後調査等の実施も提出免除条件で求める調査等として活用が可能とした。
条件付き承認制度は、制度創設後の承認件数が5品目で法制化後は0品目と製薬企業やベンチャーから運用拡大を求める声が出ていた。現在、厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会で医療上の必要性の高い医薬品への早期アクセスの確保に向け、欧米と同様に取り消し規定を設けた上で、探索的試験の段階で医薬品を早期に承認するベネフィットが検証的試験が必要であることによるリスクを上回るものに対して、臨床的有用性が合理的に予測可能な場合に承認を与える制度の検討が進められている。