日病薬が実施したアンケート調査で基金等を活用した派遣、奨学金・返還助成などの実施見込みを聞いたところ、「あり」(申請中)が10県、「あり」(その他)が9県、「ない」(未申請)が7都道県、「ない」(その他)が10府県、「未定」が6県となった。
薬科大学がない島根県病院薬剤師会は、県と協力して従来から基金を活用して高校生セミナーを開催している。矢野貴久会長は「薬学部を目指すところから薬剤師を育てていこうという方針を県が立てている。薬学部のオープンキャンパス等で親御さんと一緒に行ってもらう」と語った。
一方、奨学金の返還助成については「基金を活用していないものの、県の予算で助成を行っている」と説明した。
神奈川県病院薬剤師会は、2026年度事業では調剤業務のICT化を支援し、省力化により臨床業務時間を確保している成果を病棟薬剤師を希望する学生向けにアピールし、県内病院での就業につなげることを目指している。
山田裕之会長は、「調剤業務に関わる時間を短くするためにICT化の話が上がってきた。実施が26年以降ということで進んでいるが、現場で薬剤師を目指す学生のため、臨床薬剤業務になるべく時間をかけるために計画している」と説明した。
佐賀県は、卒後研修体制の構築に基金を活用している。佐賀県病院薬剤師会の島ノ江千里会長は、「佐賀県は薬剤師が多い県ではないが、薬剤師の質を上げようとするために県が資金を出している。癌の認定薬剤師を薬局薬剤師に取得してもらい地域医療を良くするなど、在宅と外来の癌患者さんを支えるような地域を作るためにお金を付けている」と説明した。
一方、今年度の診療報酬改定で新設された「薬剤業務向上加算」の算定を検討しているのは7施設ある。静岡県病院薬剤師会は、聖隷浜松病院からの薬剤師派遣事例について「県病薬があまり関わらず、病院同士での事例になる」とした上で、「県内の他病院でも薬剤師派遣を検討したいという話も聞いているので、聖隷浜松病院の事例をモデルケースにしたい」と語った。